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ワクチン開発・経済再開に前のめり過ぎの相場

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30日、日本時間午前3時に発表されたFOMCの政策決定内容は現状維持となりました。「雇用最大化」と「物価安定」という目標を促進することに全力で取り組むとしており、経済が最近の出来事を乗り切り、雇用最大化と物価安定の目標を達成する軌道に乗ったと確信するまで、この目標誘導レンジを維持することを示唆するものとなりました。
さすがにこのタイミングでマイナス金利さえ暗示することになるのかと注目されましたが、既にやれることはすべて出しているだけにここからさらに政策てんこ盛りにはしなかったことだけは確認することができました。相場は殆ど反応しなくなっていますが、米国のハードデータはいよいよ続々と悪化をはじめており、あらためて今回の新型コロナの感染による影響が経済にもたらしている影響の大きさというものが可視化されはじめてきています。

 

新型コロナワクチンの動向に過剰反応の相場

29日NY市場では米ギリアド・サイエンシズが抗ウイルス薬レムデシビルのウイルス治療での有効性を調べる臨床試験で患者のより速やかな回復を促したと発表したことから、異常な買いあがりとなりました。

一時700ドルに接近するところまでNYダウが上昇するなど、ワクチン開発と経済の再開期待に市場が前のめり過ぎていることが判るような動きとなってきています。
確かに世界的なレベルで社会と経済に閉塞感が漂っているだけに、少しでも明るい未来が予見できる材料に相場が反応するのはわかりますが、どうもやりすぎでAIやアルゴリズムが相場を先導してかく乱しすぎている感は否めません。
足元の景気の悪さは本当に1929年以来の大恐慌を凌ぐ可能性がでてきており、妙な楽観論だけが先行する相場がどこで経済の実態にシンクロして下落を始めることになるのかが一段と気になる状況になってきています。

 

今年の5月はSell in Mayが一段と顕著になる可能性

今年の5月相場ですが、例年ファンドが5月末決算を迎えるところが多いことから、普通にしていても米株は売られやすい傾向が強まります。

今年は儲かっていないファンドが多く顧客の解約もかなり殺到していることから、利益の出ている株の換金売りは進みそうで、いつも以上に株が売られる時間帯が出てきそうな状況になってきています。
足もとの妙に高値を更新している米株が実は絶好の売り場の可能性はかなりありそうで、まさに「Sell in May」の格言がぴったり当てはまる可能性もではじめています。
短期の投機筋はこの5月相場に合わせて、米株も日本株もかなり無理やり買い上げてきて来ている感が強く、逆に利益確定で一斉に売りに回ることになると想像以上に5月は相場が下落する可能性も考えておく必要がありそうです。
リアルな経済はもはや小売りや料飲店の世界で驚くほど傷みが出始めております。緊急事態が国内でさらに1か月継続となった場合、どれだけの破綻や閉店が加速することになるのか恐ろしくなりますが、株式市場だけ見ていますとすっかり新型コロナを織り込んでしまったような錯覚に陥ります。

 

リスク回避はドル買いが定着

株が上昇するとリスクオンとなり、ドル円は最近すっかり売られる存在になっています。米株の上昇にドル円がついて行くことはほとんどなくなりつつあり、逆に悪い経済指標がでるとリスクオフからドル円が買われ、株価は関係なしという、すっかり相関性の崩れた状態が継続中です。

3月の暴落後からどうも動きが逆さまになった感がありますが、いざというときはドルをキープしておきたいという市場の心理がストレートに現れていることが理解できる状況です。
多くのトレーダーの皆さんは恐らく足元の相場に相当な違和感を持っていらっしゃると思いますが、結局過剰な緩和をFRBが実施した結果、まともにファンダメンタルズのデータが相場の先行き判断に全く使えなくなったことだけは間違いなさそうで、当分既存の発想というものを意識しないようにしなくてはならない時間が続きそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎
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