読み込み中...いよいよ国内でも非常事態宣言が発令されることになるわけですが、依然強制力があるような、ないような中身であり、しかも最大6か月の期間となる可能性も残されているようです。
この宣言で金融市場が喜べることは何ひとつとしてないわけですが、月曜日の東京タイムではNY市での新型コロナの感染状況が改善傾向になったことを好感したのか、日経平均は大幅上昇となり、それを受けたその日のNYダウも爆発的な上昇を示現するという、いささか浮かれすぎな展開となりました。
まあ売り疲れという側面もあって、なにかきっかけがあるたびにあく抜けとして買い上がる傾向があるのは否定しませんが、冷静に見た場合日本株などが買われる要素はまったくないのが現状で、非常にフェイク感のある展開となってきています。
もちろん相場の動きこそがすべてで正しいわけですから、不満を口にしても仕方ないのですが、このコラムでも既にご説明しているとおり、投機筋だけが登場しAIやアルゴの売買が先導する相場となるこの時期には人が裁量で行う取引とは異なる感性やロジックが展開するリスクが多いです。
いきなりどこかで反転下落するといったリスクも十分に考えておく必要がありそうで、かなり難しい時間帯にさしかかってきているようです。
安倍政権の総合経済対策も驚くべき魅力があるわけではない
この原稿を書いている段階では安倍政権の打ち出す「108兆円」規模の経済対策の中身は報道ベースのものしか確認のしようがありませんが、時事通信が開示している内容は以下になります。
確かに金額規模感としてはリーマンショック時の2倍ですから大きなインパクトがあるように聞こえますが、消費の落込みに対応して個人などの世帯に真水で多額の資金を供給するといった内容は非常に限られております。
税金の支払い猶予が27兆円含まれているなど、金額規模から感じられる勢いと中身が別物になっている点が非常に気になるところです。
恐らく4～6月の第一四半期だけで年間ベースでGDPの3割、つまり期間合計なら35兆円程度の消費の落込みは容易に想定できるわけですが、果たしてそれをこの対策で補えるのかどうかに関しては相当クビをかしげるものがあるのが実情です。
ドル円の上昇もかなり違和感のあるもの
ドル円は前週末の米国雇用統計で相当数字が悪かったにもかかわらず、ほとんど反応なしで上昇する動きとなっただけでも驚きですが、週明けにはさらに上昇しとうとう109円を挟む動きとなってしまっています。
週初にリスクオンが過ぎる相場というのはだいたい後半に巻き戻しがくるものですが、チャート的には上昇しても109.800円レベルで頭を抑えられる可能性が高そうで、ざっくりいえば107.500円と109.500円のレンジ幅に相場が移行したと考えるとかなり納得のいくものになりそうです。
いずれにしてもこの動きはファンダメンタルズ的にはなんら説明のつかないものですが、投機筋やアルゴリズムが動きを増幅しているとすれば買ったものは必ず売られ、売られたものは必ず買い戻しされますから、意外なタイミングでもとに戻ることも想定して臨んでいきたい局面です。
毎回書いているように、このパンデミック相場というのは市場参加者の誰ひとりとして先行きがどうなるということを見通すことができないままに不安と同居しながら取引しているのが実情です。
どのような相場の動きが示現してもそれを精密に説明できる人などいません。もちろん我々が理解できないなんらかの理由が実際に存在していることは間違いないでしょうが、市場が後づけで解説する内容が正しいとは限らないことだけはしっかり認識しておきたいところです。
理不尽な動きは上方向にも下方向にも表れると考えておくことが必要です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
