3日NYタイム、注目の米国雇用統計の3月分の発表がありました。結果は非農業雇用者数で市場予想をはるかに下回るマイナス70.1万人減で直近の失業者申請件数の劇的増加を考えれば4月はさらに悪い結果になることが確定した状況となっています。
また失業率は4.4%へと上昇をはじめており、こちらにも悪化の傾向が見え始めています。しかし肝心のドル円の動きのほうは市場参加者の期待とは異なる方向に動いてしまい、雇用統計の結果を受けても殆ど下がらないという独特の状況を示現することとなっています。
■ドル円1時間足推移
ドル円は前日の2日、トランプ大統領がサウジとロシアの石油減産合意の可能性をツイッターで示唆したことから急激に上昇しはじめ、すでに108円台に乗せる動きとなりました。
しかし、その後の東京タイムでショートが溜まり過ぎる状況で、雇用統計の発表前に108.500円をつけるといった始末で、その後も殆ど下がらないまま週の取引を終えています。
さすがに雇用統計結果から考えればもっと下げてもよさそうなものでしたが、ドル高、円高に加えて、投機筋しか登場しない4月相場独特の状況がこうした動きを示現してしまったようです。
4月は機関投資家が動かない特別な月
通常4月というのは国内では新年度で多くの個人投資家は心機一転をいう新たな気分で相場に臨むことが多いわけです。
機関投資家は人事の変更に加え、投資方針の社内決定が4月中に行われることから新たな動きがでるのは例年でも5月の連休明けとなるのが殆どの状況です。
まして今年の新型ウイルスの感染状況ではこうした決定がさらに後ずれするのは間違いない状況であり、足元の相場、とくに雇用統計などの発表相場では市場の中心は投機筋主体であることから、参加者の事前イメージと実際の相場の動きが激しく乖離してしまう点にはかなり注意が必要です。
4月第1週の相場はドル高と円高が再燃したことからドルインデックスはまた上昇し、ドル円はショートが積み上がり過ぎたことも大きな原因ですが、結果的にドル高で円高の相場はドル円を押し下げることなく逆に上昇させて週の取引を終えていることがわかります。
■チャート みんかぶFX
こうなるとドル円はドル高が優勢になるのか円高が優勢になるかはまったくはっきりしないことから、相場の材料次第で上にも下にも行きそうな気配が強まる相場が週明けも続きそうな状況です。
上のチャートを見てもクロス円は悉く円高方向に動いており、ドル円とユーロドルだけが異なる動きになっていますから週末の相場はかなり独特の状況であったことがあらためて認識できるところです。
ファンダメンタルズ的にみるとドル円は全く上昇材料がない
投機筋主体で相場の需給というよりはポジションの偏り次第で動いてしまうドル円を見ていますと、テクニカル的にはここからさらに上昇することも十分に考えられる状況ではあります。
ファンダメンタルズ的に考えますとこれだけFRBによる無尽蔵な緩和措置と市場へのドル資金の提供を行っている以上、どこかで必ドル安が示現してくることは間違いなさそうです。
米国とともに日本での新型ウイルス感染がピーク、かつ爆発的な罹患者の示現が公表されれば、日本株もドル円も大きく売られる危険性はかなり高くなります。
現状ではクロス円の下落が顕著ですが、それにつられる形でドル円が下落してもまったくおかしくはなく、週明けの相場はではいきなりのドル円反転下落に相当注意すべき時間帯になっているようです。
ここからも思わぬ方向に相場が動くことは十分にありそうですから、固定観念だけで相場に向き合わずにポジションの傾きからくる動きの変化を常にチェックしながら取引を行っていくことが重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)