ドル円相場がようやく3月の異常暴落相場を受けた不思議な動きから、以前のまともなセンチメントに戻りつつあるようです。
実質的な3月最終週にあたる23日からの相場は、東京タイムになると下落したドル円がNYタイムには連日111円台に乗せるという特異な展開を延々と続けることになりました。
しかし結局112円には一度も戻すことなく25日を超えたあたりから市場のセンチメントがいきなりもとに戻り始め週末金曜日のNYタイムにはとうとう108円割れまで円高方向に下落する展開となりました。
もはや異常とも思われた株価暴落相場におけるドル円上昇のほぼ2月高値への全値戻し相場はこれにて一旦終了となったことがわかります。
■ドル円4時間足推移
チャートを振り返りますと都合5回112円抜け方向を試したものの、結局1度として上抜けなかったドル円相場は上値における売りの抵抗感の強さをあらためて感じさせられた次第で、結果的に月足での三角持ち合いは今もまだ続いている気配が濃厚な状況です。
■ドル円月足
大山鳴動してなんとやらという印象はぬぐえませんが、非常に難解を極めた3月相場がようやく終焉して元に戻ろうとしているのは喜ばしい限りです。
4月は再度円高に振れる展開に注意
4月相場入りということで珍しく先行きについて若干触れておこうと思いますが、今年の高値も底値もここ1か月半あまりでつけてしまった感のあるドル円相場はもう少し円高方向に値を戻す可能性がでてきてます。
FRBが市場に仕掛けるめちゃくちゃな規模の「量的緩和政策」は確実にドル売り材料になります。
ただし、週明けの米国雇用統計では失業率などの数字が飛躍的に悪化することが予想されはじめており、一定の織り込みはすでにマーケットが行っているとしても先行きに対する悪化感がドル円を円高方向に向かわせるリスクはかなり高くなりそうです。
足もとの相場では経済対策がでると米株は上がるものの、ウイルス感染者数が増えるたびに下落するという猛烈なボラティリティの繰り返しでまだ市場はまったく落ち着きを取り戻していないのが実情です。
昨年の相場をみていてもわかりますが、本来4月はドル高になりやすく5月以降夏にむけて緩やかに下落していくのが一つのアノマリーとなっています。
しかし、今年の場合には既に前倒しですべてをやってしまった可能性は高く、ここ1か月の上下動の半分程度になる106円近辺まで下落しても決しておかしくはなさそうな位置にあります。
とくに週明けからは国内の新型コロナ感染状況がかなり厳しいものになるとの見方もあり、オーバーシュート気味に展開すれば105円台まで到達することもありえそうな状況になってきています。
明らかに相場の流れが変化
25日以降の相場の動きを見ていますと、米株の上昇や下落にドル円がついていくようになっていますし、米債金利との相関性も明確に復活しているように見えます。
また東京タイムで株価が下落しはじめると迷うことなくドル円も下落に転じるようになっていますから、3月後半の特別な動きに合わせて取引をしていた方は上昇目線を一旦リセットして考えることが重要になりそうです。
FRBの前代未聞の緩和策により米株は再度バブル相場に戻る可能性もありそうですが、新型コロナの影響がどのようにそれを相殺するのかについては引きづづき注意が必要になりそうです。
通貨オプション市場でも円コールが買われやすくなっており、やはり市場全体が円高方向へのリスクを気にし始めていることがわかります。
それだけ市場参加者の目線がこれまでの動きから変わってきていることが感じられます。我々個人投資家も一旦これまでの取引姿勢をリセットすることにより4月相場で負けない取引を心掛けていきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)