足もとのNY市場は、議会で新型コロナ対策の予算がすんなり通過しないと株価が売り込まれ、FRBが上限を決めない債券購入の新たなQE4を正式発表しても株が上昇したのはほんの一瞬で結局米株は崩れだすという、株上げに関してはほぼ手立てを失ったような状態が続いています。
連日の相場の大幅な上下動に見慣れたことから大きな驚きはなくなりましたが、このボラティリティの大きさは依然として為替にもかなりの影響を与えています。
そんな中でS&P500はとうとうトランプ大統領が就任したときの株式市場のレベルをS&P500が完全に下抜ける動きとなっており、就任から3年以上続いてきたトランプ主導の株式バブル相場が完全に終焉を迎えようとしている状況です。
23日のNYタイムでS&P500はトランプ就任時の価格を下抜け
実際いろいろなデータを見ますと、S&P500企業の税引き利益は2014年からほとんど伸びておらず、自社株買いやFRBによる異常とも思える緩和措置が無理やり米株を押し上げてきたものの、今回の新型コロナウイルス騒動で意味のない上昇部分がみごとに剥落したことがよくわかります。
チャートはトランプ就任時のレベルを下抜けてさらに下値を追いそうな嫌な雰囲気になりつつあります。
中央銀行バブルの手法を上乗せしても元に戻らないのはもはや明白のようで、ダメ押しのゼロ金利の前倒しも未曽有のQE4の実施もこれまでのバブル相場の再増幅をはかるにすぎない内容にとうとう金融市場がまともに反応しなくなっているというのが現実のものになろうとしているようです。
同様の状況は日本の株式市場にも示現するはず
年度末を控えて本邦の株式市場のほうは米株の下落との相関性を失いながら無理やり上昇して3月末を迎えようとしていることが見えてきますが、中央銀行が値付けした管制バブル相場が崩壊するとなれば日経平均の下落余地は米株以上のものがあり、4月以降も十分に注意が必要な状況が続きそうです。
市場ではまさかのときの下落を想定して機関投資家が日経平均1万4000円やさらにその下の1万円のプットオプションを大量に購入してヘッジ策を進めているようですが、まさかのための購入といっても実際にワークしてしまう可能性もかなり高そうで、こちらはさらに警戒すべき状況です。
米債には資金が改めて流入
ここのところ激しい金利の上下動に見舞われた米債市場ですが、こちらはFRBの無制限買い付けなどを好感したのかかなりの資金がまた買いに入り始めており、あらゆるものを投げうってキャッシュに向かうというファンド勢の猛烈なドル買い行動も一旦は収束する可能性がでてきています。
ただ、株価がここからさらに下げたり、社債市場に異変が起きることになれば、まだドル買いの動きが顕在化することも考えられます。
今回の相場下落の原因となっている新型コロナの感染に関しては、まだなんら収束の見通しが立っていませんので東京五輪延期を決めた日本が東京都を中心にいきなりロックダウンも並行して決めるようなことになれば日経平均は大幅に下落する危険性は十分に考えられ、引き続きこちらも政府や東京都の対応に注目すべき時間帯が続きます。
為替に関しては一定の方向に突き進むだけではなく東京タイムやロンドンタイム、NYタイムといった各時間帯で方向感を微妙に変える動きを連日示現させていますので、長くポジションを保有する場合にはこうした流れの変化にも十分気を配る必要が出てきています。
一旦ポジションを作ったら当分そのまま放置しておくといったやり方では当然リスクも高まることになりますので、しっかりその都度リカクして前に進んでいくことが必要です。依然として難しい取引が続く状況となっています。
(この記事を書いた人:今市太郎)