読み込み中...米国株式市場はムニューシン財務長官が日本円にして80兆円近い財政出動を実施し景気を下支えすることを示唆したことからまたNYダウで1000ドル以上の上昇を示現して相場を終えています。
金融当局が緩和措置を出しつくしたこともあり、いよいよ世界的に政治が主導で景気を支える財政出動のフェーズに突入してきたことがわかります。
ムニューシン財務長官はPPT・プランジプロテクションチームの主導者ですから、ここからは大統領選に向けてとにかく株価を下げさせないために手練手管の方法を市場に持ち込んでくることが容易に予想されますが、金融緩和よりはダイレクトはインパクトがあるとしても果たしてこれでパンデミック相場を払拭することができるのかどうかが非常に注目されるところです。
金融市場は見えないところで様々な問題がではじめている
ただ、連日激しいボラティリティの発生する株式市場は完全に相場の投げ終わっているわけではなさそうで、とくに短期のレポ市場での資金の枯渇に対応するNY連銀の連日の流動性供給は50兆円規模という驚くべき状況に陥っています。
どうも我々の見えないところで何かが起きている可能性が非常に高いわけで、とくに相対取引が主流となっている債券相場に異変が起きている可能性は高い状況です。
ブルームバーグなどを見ていますとあらゆる資本市場にそれなりの価格が提示されて、まともに相場が動いているようには見えますが、一部のジャンク債市場などでは公表されている価格をはるかに下回る値段でも売買が成立しない状況が示現しはじめているようで、追証のために資金調達を行おうとするファンド勢などがかなりドルキャッシュの確保に苦戦していることが見え隠れしてきます。
やはり我々が認識できないところでとんでもないことが粛々と進んでいるようで、株価の推移だけみて相場の先行きを断定するのはかなりリスクがありそうな状況です。水面下では相当厳しい展開が続いていることを忘れてはなりません。
米国の財政出動開始は強烈なドル安政策の始まりか
もうひとつ足元の相場で気をつけなくてはならないのは、全くカネのない世紀の債務国である米国が推進する財政出動に伴う問題です。
恐らくトランプはここから多額の財政出動に対応するために強力なドル安政策をすすめることはもはや間違いなさそうな状況であり、新型コロナウイルスの問題が一息つくとしてもドル円はそう遠くない時間で100円割れ、95円とか90円といった水準に大きく押し戻される可能性が高まります。
もちろん対ユーロでも米国はドル安を志向するものと思われますが、世界的な状況を見回してみたときに日本がもっともいうことを聴く国であることは明らかでどの位のタームでこうした状況が示現するのかはまだはっきり判りませんが、今年後半に向けてはまた激しい円高に襲われる危険性が高まりつつあります。
本来NYダウでマイナス6σというあり得ないところまで下落した相場はすでにもっと戻りを試してもいいはずなのですが、連日シーソーのような上げ下げが続いている以上、常識では考えられない何かが起きている危険性はかなり高そうで、買っても売ってもしっかりストップロスを置いてまさかの時に備えることだけは継続したいところです。
足もとの市場ではここまでかなりの利益を収めてきたファンド勢でも想像を絶する負けを食らっているようで、このコラムでも何度もご紹介している世界最大のヘッジファンドでリスクパリティ戦略の先駆者的存在であるブリッジウォーターのレイダリオでさえ25%近いマイナスに直面しているそうですから、とにかく安易なトレード行うことだけは控えるべき時間帯のようです。
うまくやり過ごせるだけでもかなり幸運と考えるべき時なのでしょう。引き続き緊張感をもって相場に接することが重要になりそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
