株も為替も一旦の底値をつけた感はありますが、その後の動きはかなりボラティリティの大きなもので、やはり迂闊に相場にエントリーしても損を出しかねない状況です。
引きで見ればドル円は確実に値を戻した状態
10日から11日の早朝に至るまでのドル円は、ざっくり言えばとうとう106円の手前まで値を戻すこととなりましたが、上下のボラティリティはここ数年のドル円にはなかった猛烈な幅で常時2円から2.5円程度の上下動を覚悟して取引しませんとポジションを持ちっぱなしではいられない状態が続いています。
■ ドル円10日の15分足推移
102円台でロングをしてそのまま我慢し続けて持ち続けていれば確かに最高値でリカクすることができるのは、あとからチャートを見ればわかることですが、リアルな取引の現場ではどこまで上昇するのかはまったくわかりません。
フィボナッチでみても明らかにオーバーシュート気味な動きをしますから、相場に張り付いて見ていられる人、さらにスキャルピングに近い取引手法でごく短時間で売買をするトレーダー以外は迂闊にエントリーしてもちっとも儲からず、通常のストップロスを置いておくと何度もひっかかるという状況に陥ることがみえてきます。
ドル円は値動きの激しいポンド円やポンドドルぐらいのボラティリティを生じさせていますから、1日1円も動かないレンジ相場での取引に慣れている投資家にとっては結果的にかなり難しい状況に陥っていることがわかります。
東京タイムだけとりだしてみても2円上昇したすぐあとに1.28円逆戻りするというボラティリティですから、短時間にしっかりリカクできない人はポジションを持ち続けるのが非常に難しいのが実情です。
また大きく戻りを試したあとにさらに下げがきつくなるとどうしても戻り売り主体の取引になりますから担がれて損切せざるをえないことも多く、頭で考えている以上に実は難しい相場の中にいることを実感しなくてはなりません。
新型ウイルスの状況はなんら変わっていない
米国ではいちはやくトランプ大統領が減税を口にしたことからドルが買いあがる状況となりましたし、結果的にみるとNYダウも2000ドル下落から半値以上もどす形にはなっていますが、相場の途上ではマイナスになる時間帯もあってよほどプライスアクションに集中した取引をしないとうまく稼げないというのが正直なところでです。
たしかに動きがあるというのは儲かる原動力ですから腕のあるかたは接触的に参加する時間帯なのだろうと思いますが、相当柔軟に取引ができませんと精神的なストレスばかりたまりかねない状況で、そうでなくても新型肺炎でいろいろ行動が規制されていますから、あまりいらいらしない取引方法を選択すべき時間帯のようです。
東京タイムだけやNYタイムだけに絞るのも一つの方法
この相場見ていますと東京タイムとNYタイムではやはり微妙に相場の動くセンチメントが違うことを強く感じさせられます。
東京時間はやはりPKOと思しき輩がほとんど介入のようにドル円を買い上げる動きがわかりましたが、それが切れるとすぐに相場は逆戻りですし、ロンドンタイムに入ると今度はストップロスをつけさせるための動きを仕掛ける連中も登場してかなりセンチメントが変化します。
そして夏時間になった夜10時半以降のNYタイムは彼らの市場テーマから株も債券も売買されることからドル円はそれまでとは異なる動きを示現することがありここも意外に難しいものがあります。
こうなると長い時間取引すること自体がリスクになりそうですし、足元のボラティリティが一旦収まるまでは様子を見ると決めこむのも一つの重要な戦略になりそうです。
暴落後ここまで勝ち進んできたトレーダーもこの先そのツキを維持できるかどうかはまったくわかりませんので、むしろ利益がでた過多は逆に一息ついてみるというのも有効な方法になるかもしれません。こうしたときだからこそ余裕をもって相場に臨みたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)