読み込み中...2月最終週、思わぬレベルで大暴落となった米国株式市場を受けて市場参加者は一様にFRBの利下げ期待による緩和の拡大を期待するようになっています。
これはここまでの相場の推移から考えれば至極当たり前の動きともいえるわけですが、果たして今回の新型ウイルス起因のほぼパンデミックに近いような世界状況の中で果たして中央銀行が緩和をすれば相場が立ち直るのかどうかが大きな注目点になりつつあります。
すでに95%近くが利下げを織り込んでしまった相場
Data CME
直近のCMEのFedWatchによれば2月28日現在で3月のFOMCに0.25％の利下げが実施されると織り込んでいる割合はすでに94.9％にまで達しており、これでFRBも利下げをせざるを得ない状況に陥っていることがわかります。
ただ4月のFOMCではさらに0.25％の利下げ確率が73.2％に及んでおり、市場はより低い金利へとFRBが利下げを行うことを期待している状況です。
Data CME
トランプ大統領も相当声高に利下げをFRBに要求しはじめていますし、恐らくこのような形での利下げが実施されることになるのはほぼ間違いないものと思われます。
さらに現在行っている隠れQEをオフィシャルにQE4として持ち出してくることも想定され、恐らくこれをきっかけにして相場は一時的に持ち直すことが期待されます。
これが通常のリセッションであり、金融危機における相場の下落であればFRBの緩和措置による処方箋もそれなりの効果を示現することになるのでしょうが、今回大きくことなるのは相場暴落の原因がウイルス起因のパンデミック寸前の状況であるということで、果たして金融緩和がパンデミックを食い止められるのかどうかが大きな問題になってきています。
リーマンショックと明らかに違うのはリアル経済起因の相場暴落
今回の暴落はとにかく11年前のリーマンショックと比較されることが多くなっています。
しかしこのパンデミックリスク暴落がリーマンショックと大きく異なるのは中国起因で実態経済がみるみるうちに悪くなっていることです。
中国国家統計局が2月29日に発表したPMIは好不況を判断する節目の50を大幅に割り込み、生産動向を示す指数が１月の551.3から27.8に低下し、新規受注指数も51.4から29.3へと大きな落ち込みを見せる結果となっています。
ここまで数字が悪くなったのはほぼ史上初の状況であり、3月についても引き続き悪い数字がでることが予想される状況です。
中国はすでに全世界のGDPの16%を担う存在となっており、中国からの製品や中間財が輸入されないことで国内経済は想像をはるかに超える打撃を受けることはほぼ間違いない状況です。
実はこれが11年前のリーマンショックとは大きく異なるもので、当時はグリーンスパン元FRB議長が100年に一回の経済危機であるなどと議会証言したことから大騒ぎになったわけですが、実態は米国の金融業界起因の危機でありその後利下げや緩和措置、財政出動などでなんとか相場は持ちこたえることになります。
しかし今回のパンデミックリスクは実態経済の大幅な悪化が金融市場を襲うことになり、しかもウイルスの拡散がどこで止まるのかは全くわからない状態ですから、3月、4月とFRBが利下げをしただけで景気が回復するかどうかは全く不明である点はしっかり理解しておく必要があります。
つまりここからさらに相場が下落することは十分にありそうで、とりわけ国内株式市場に関しては過去7年日銀が無理やり人工相場で買い上げてきた8000円程度の下駄ばき部分が一挙に剥落するリスクすらある状況です。
ここからはリアルな経済の縮減状態がどこで止められることになるのかを最大のフォーカスポイントとして取引をしていくことが重要です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
