週明けからいよいよ3月相場で、今年は気温も高いことから中盤には桜が咲き始めるのではないかという予想も出ているものの、金融市場は一転して真っ暗な状況に陥りつつあります。

この新型肺炎の問題が浮上してきた時から多くの市場参加者は相場が大きく下落するのではないかという不安をよぎらせたはずですが、2月の相場は株も為替もほとんどどこ吹く風で多少の下落はあったもののこれを材料にして大幅下落するといったことはないままに推移し、米株も日本株も年度末に向けてさらに上昇すると予想するアナリストが驚くほど多かったのが印象的な期間となりました。

まあいくら相場が間違っていると怒ってみてもそう動いているのが事実である以上否定しても意味はなく、違和感を感じながらも動く方向について行かざるを得ない状況に陥ったことは間違いありません。

三角持ち合いを上放れたドル円は完全にだましの世界で逆戻り

米国、日本の株式市場がFRBの緩和措置の影響でウイルスリスクを無視して上昇してしまったのがまず間違いの始まりですが、2月の相場を振り返りますと、110円中盤をドル円が突破し上値を大きく試しにいったのは実に余計な動きでテクニカル的には114円方向まで上昇することが想定されたことから実に4年ぶりに三角持ち合いを上抜けた上昇方向についていって失敗したトレーダーの方も多かったものと思われます。

ドル円はその後も株価の下落に比べてかなり高い位置で推移することとなり、これまでのリスク回避なら円高という動きにならなかったことから日本売り感が強くなったことは言うまでもありません。

しかしこの発想を粉砕することになったのが水曜日から突然始まった米株の大崩れでNYダウは終値では25400ドル台を維持しましたがたった数日で4000ドル以上の価格を失う動きを示現し、2018年1月や12月の下落をはるかに上回る大暴落を喫してしまうこととなりました。

■ドル円月足

 ドル円の月足を確認しますと結局112円に上昇したのは一瞬の上髭に終わり、完全にまた三角持ち合いの中に納まってしまった状況にあることがわかります。

月の取引のNYタイムの最終値は108円近辺ですからかなりもとに戻った感がありますが、相当引きでみますとまだぎりぎりレンジ相場の中にあるともいえる状況です。

ここからは株の下落次第の相場

3月相場は年度末ということもありいろいろ通常の月とは違う動きが為替市場にも表れるものですが、それ以前に足元の相場が果たしてどこまでドル円中心に下落展開するのかが非常に気になるところです。

すでに28日のNYタイムではドル円は107.500円レベルまで下落していますから状況次第では株価のさらなる下落に伴って105円レベルまで下落するのもそれほど難しくはない状況になっていることがわかります。

■ドル円15分足

28日金曜日の相場を見ますと東京タイムからNYタイムの終了までほぼ下落を示現しており、あっさり2円下落したことがわかります。

すでに112円台超からみても5円の下落ですから通常の相場でいえばひと相場終わった感がありますが、相手はウイルスによる新型肺炎の問題ですから中央銀行が緩和したり買い支えに動いたりしても下落を抑止できるかどうかはまったくわからない状況に陥っておりまだ下値を試す可能性は残されています。

テクニカル的に見て買い向かうのもかなり難しいのが正直なところで、まずは米国のNYダウの下落が止まるかどうかを大きなポイントとして見ていきたいところです。

こうなると迂闊にレベル感でポジションをとるのは危険で、まずは米株の動きを常に確認するところからトレードを考える必要がありそうです。

折しも週明けから米国では大統領選挙戦が本格的な動きになりスーパーチューズデーも開催されますからトランプ政権がPPTのチームを駆使してなんらかの動きに出れば一旦は株価の下落も食い止められる可能性もありそうで、常に下だけを意識しない柔軟さも求められるところです。いずれにしても妙な相場に巻き込まれて大損だけはしないように心がけたいものです。