為替市場に大きな変化が現れ始めています。ここまではリスク回避といえばドルとともに円が買われるのが相場の常であったわけですが、足元では日本という国が抱えるリスクを嫌気したドル買い、円売りが明確になってきており、ドル円はとうとう111円を超えて112円方向に突っ走り始めています。
チャートだけみていますとリスクオンのドル買い円売りに見えますが、実はその拝啓にはかなり辛辣な円売りが示現しはじめていることを強く感じさせられます。
首相の嘘連発、増税大失敗、ウイルス危機管理問題で日本売り
株式市場は米株を見ながら動いて行く部分が大きいためほとんど変化が感じられませんが、為替市場はそれとは比べ物にならないぐらい相場を取り巻くリスクに敏感で日本という国が原因の円売りが進んでいるように見えます。
モリカケの問題から始まるどうにもこうにも不可解な安倍首相の動きは桜を見る会という本来ならたいした問題にはならなさそうな一件でも公職選挙法違反が明白な状況に陥っていますが、国会での答弁はほとんど意味不明であり、これは海外のメディアの目にも相当おかしなものに映っていることは明白です。
およそ先進国の法治国家として機能していないというベースがあるなかで、消費増税の大失敗により一時的にせよ実質GDPが年率でマイナス6.3%を示現、家計消費は年率ベースでマイナス11.8%の下落であり、リーマンショック直後の落ち込みのほぼ2倍規模にまで低迷しているわけですから、台風や暖冬のせいにすることは全く不可能で、明らかに消費増税の失敗が原因となっているわけです。
このことはWSJをはじめとして海外のメディアも大々的の報道を始めており、市場が嫌気しはじめて円売りをスタートしたのはどうやら間違いのない状況のようです。
既に海外のメディアではアベノミクスの大失敗を報じるところもでる始末で、国内で自画自賛する首相とはまったく対照的に海外からの目は相当厳しいものになってきています。
さらにこの状況に追い打ちをかけているのが横浜港に停泊しているダイヤモンドクルーズ号の新型肺炎感染問題をめぐる国、厚生労働省の実に稚拙な対応で、こちらも神戸大学のウイルス感染の専門家の教授が船内に潜入して実情を暴露したことから米英のメディアで大騒ぎになっており、日本政府はこうしたウイルス危機管理になんの能力ももっていないことが露見してしまっています。
長らく続いたリスクオフの円高はもうこない可能性も
東日本大震災の直後も、北朝鮮から謎の飛翔体が発射された時も、とにかくリスクオフといえば円が買われる時代が長く続いたわけですが、足もとでは日本起因のリスクに関して相場が円売りを仕掛けてくる時代がとうとうやってきたように思われます。
もちろん一部の投機筋はこれだけネガティブなことが積み重なっているのでFRBと同様に日銀が緩和措置に動くのではないかという期待から株は上昇維持、ドル円はドル買いに動いている可能性も否定できませんが、為替は明らかに株とは別の動きをしているようで、いわゆる悪い円売りというものが示現し始めている点が危惧されます。
これまでの状況から考えれば112円レベルに到達するのがせいぜいかと思われましたが、こうした状況の変化の中でトランプが不満の口をはさんでくることが当面ないならば春に向けてドル円は114円方向にまで上昇する可能性がでてきています。
ただ、これも長期的な動きになるのかどうかはまだ様子を見る必要がありそうで、4年間の長期にわたって参画持ち合いを演じてきたドル円の本格トレンド転換なのかどうかは今週末のドル円の終わり値を含めてかなり慎重に判断することが必要になってきているようです。
いずれにしてもトレーダーは明確に頭の切り替えが必要になってきています。
(この記事を書いた人:今市太郎)