読み込み中...内閣府が2月17日に発表した2019年10月～12月四半期のGDP速報値はあらかじめ日銀総裁などが市場に示唆していたとおり-成長となり、実質国内総生産は前期比マイナス1.6％と東日本大震災直後の11年1月～3月期の前期比-0.9％を軽く上回るほどの景気減速を招くこととなってしまいました。
これは1997年にも起こったことですから速報が出るまでもなく分っていたことではあるのですが、東日本大申請直後の年率-3.5％をはるかに超えて年率ベースでは-6.3％というすさまじい数字を示現することとなってしまいました。
台風や消費増税による駆け込み反動減、米中摩擦による不透明感などから、消費、設備投資もすべてマイナスで、まったくいいところがないのが実情です。
ここから足元の新型肺炎騒動による経済の衰退、景気減速が1～3月に覆いかぶさってくるわけですから、事実上テクニカルリセッションに陥るのはほぼ確実な状況で、下手をすればリーマンショック後の景気悪化を超える可能性すらでてきているかなり厳しい局面を迎えようとしています。
新型肺炎の結果中国起因でのインフレの波及にも警戒が必要
この新型肺炎の景気への影響は2003年のSARSの時よりも2011年の東日本大震災後の経済減速の中で株や為替が大きく下落したほうが参考になるのではないかといったコラムを既に書かせていただいていますが、どうやらこちらが本当になりそうで、新型肺炎の問題が加算される前から既に東日本大震災直後の景気の落ち込みを超える状況が出てしまっているという最悪の状況であることは間違いありません。
この先すでに国内問題となってきている新型肺炎の感染者が爆発的に広がることになれば、3月のみならず4月、5月と経済が大きく減速することが容易に予想されるところで、もはや感染の拡大次第で景気の減速が大きく変わることになりそうです。
さらに気をつけなくてはならないのが中国起因のインフレの進行です。米国の株式市場はとにかく新型肺炎による相場の下落は押し目買いの絶好のチャンスとして機能しているようで、下げると買いが入って大きな下落にはならない相場が延々と続いています。
しかしこの中国起因の新型肺炎は確実に中国国内でインフレを引き起こすきっかけになっているようで、そうでなくても豚コレラの影響で豚肉がかなり高騰したことから消費者物価が大きく上昇していたわけですから、そこにこの肺炎の問題がいきなり国内全土に追い打ちをかけているのは間違いなくすでに生産活動の停止、物流の寸断からモノ不足が大幅な物価上昇を引き起こそうとしている状況です。
これは中国本土のみならず当然海外でも同じ問題を引き起こすことになり、米国や日本でも物不足からインフレが加速する危険性が高まりつつあります。
仮に米国でまさかのインフレという事態になりますと足元で猛烈な勢いで緩和を続けているFRBの政策も一旦停止を余儀なくされることから、株価への影響はかなり大きなものになりそうで、大統領選挙を待たずに株価が下落するリスクも高まりそうです。
米株が崩れ始めれば否応なく影響を受けるのが日経平均ですから、こちらも決して上昇を期待できるような時間帯ではなくなりそうです。
主要各国の中央銀行による金融緩和がとん挫することは大きな相場の玄関の引き金を引く危険性が高く、結果的に新型肺炎のまん延をきっかけに世界規模のリセッションとスタグフレーションが起きるリスクを警戒しなくてなりません。
為替に関しては当然ドルが下落することが予想されドル円はここから予想以上に円高にシフトする可能性を考える必要がありそうです。
金融市場は突然顕在化してきたコロナウイルスリスクで大きく流れが変わりそうな状況ですから決して楽観視せずに相場の状況を監視することが重要な時間帯です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
