読み込み中...このコラムでも毎回お伝えしている新型肺炎の問題ですが、もはや中国の問題から国内の問題へとシフトしてきており、話はさらに大ごとになり始めています。
先週、中国の認定基準の変更から突然発症者数が増える死亡者数もうなぎのぼりという想定外の事態になったことからドル円はまたしてもリスクオフが強まる相場になりましたが、とうとう日本国内での感染拡大が最大の問題になりつつあるという新しい局面に直面することとなったことから相場の動きもこれまでのものとは変化する可能性が出始めています。
横浜のクルーズ船の乗客への対応の悪さも手伝って日本は中国と並ぶ、もしくはそれを超える対応の悪い感染国というレッテルが張られてしまいそうな状況で、これは為替にも相当な影響がでそうなところにさしかかりつつあります。
この新型肺炎のウイルスは感染経路も明確ではありませんし、なぜ武漢だけで大量発症したのかも不明、感染から潜伏期間は24日などと言われていますがこちらも確定した数字ではないようで、対処法も全くなにもないという状況です。
結局のところまったく何もわからないというのが正直なところでマスクをして手洗いをしていた横浜のクルーズ船の検疫官ですら発症する状況ですから、民間人が現在言われているような対処法で立ち向かっても本当にウイルス感染を防げるのかという問題が顕在化してきつつあるわけです。
都市部のみならず全国的に1か月以上完全に経済活動が止まる？
完全に経済、物流がストップしたということでいいますと東日本大震災から1か月程度の関東圏の状況が思い起こされるわけですが、地震と違って大問題なのはウイルス感染があることから人口密集地域で人がまともに働けないという前代未聞の状況に陥ってしまうことです。
一部の企業は満員電車の時間帯を避けて出勤することなどを決定していますが、もはやそういう問題ではない状況で完全なテレワーキングだけでどこまで企業行動を維持できるのかが大きな課題になりそうです。
とくに対面販売やオペレーションを行う業態、組織、サービスといったもののすべてが影響を受けることになりますし、病院も本来は隔離病棟を用意することになるのでしょうから、短期間に猛烈な発症者が出た場合には中国武漢から送られてきた映像よりもはるかに厳しい事態に追い込まれる危険性が高まりそうです。
そもそも金融市場がしっかり機能するかも非常に心配
金融市場についてはすでにオンラインを通じた取引主体ですから最小限の人間で市場をオープンさせることができるでしょうし、たとえ東京の市場参加者が激減しても為替などは全く問題なく稼働することが予想されます。
ただし、ドル円などは強烈に売り込まれて円高方向に動くといったまさかの事態も予想されますので、ここからの相場の状況はまさに新型肺炎の感染状況次第ということになりそうで、取引にあたってはより一層の注意が必要になりそうです。
パンデミックからリセッションになったことはないなどと楽観的なことを口にする人も多いわけですが、物流、ひとの生産活動、販売活動が一斉停止した場合には相当なダメージになることは容易に想像できるだけに楽観は禁物です。
こうした状況になりますとすぐには危機的な状況ではないなどとだいたい政府は気休めを口にしますが、金融市場の場合は世界がつながっているだけに、本邦サイドの目論見とは違う形で相場が動くことは十分にありえそうでかつて経験したことのない領域に足を踏み入れることになるだけにあらゆる状況の変化に柔軟に対応できるようにしておくことが重要になりそうです。
しかし、新型肺炎で日本が世界の矢面に立つ危機的状況に陥ることになるとは1か月前までまったく想定できませんでした。そのぐらいパンデミックというのは恐ろしい事態なのだということを改めて痛感させられる次第です。皆さまも体と金融投資の双方を十分にお気をつけください。
