ミレニアル以降の世代で記憶すらない若い方々はそもそも覚えていないわけですから、思い出すすべもないかと思いますが、足元の経済状況、景気の状況は98年の日本に極めて似通ってきています。
1997年なぜか景気もよくないのに無理やり消費増税に踏み切った橋本内閣はその後奈落の底に突き落とされてとんでもない経済状況に陥ることになります。
当時アジア通貨危機が起こり始め、翌年にはロシア通貨危機へとつながる政界経済の悪化の中で、本邦の金融機関が次々と破綻する状況に陥ったわけですがら、金融市場にもいいことなど何もなく日経平均は下げが止まらなくなり、実質賃金は減少を開始しとうとうデフレ経済に突入することになります。
足元の経済はまだデフレから抜け切れたとは言えませんが、再度突入つる可能性が極めて高く、FRBの気が狂ったような緩和措置で上昇を維持する米株と日本株は与えられている状況がかなり異なることがわかります。果たしてここから日本株はどうなるのでしょうか。
小渕内閣で40兆円真水による経済対策実施でも株価は4割下落
消費増税後景気が大きく悪化したことで橋本内閣は参議院選挙に大敗し辞任を禾なくされます。なぜ無理をして増税したのかの判断はいまだによくわかりませんが、それでも橋本元総理は国民に率直に非を認め謝罪しています。
くちを開けば嘘しか言わない今の政権とは大違いだったわけですが、その後政権を担当した小渕恵三氏、今のパソコンをぶち壊して罪を隠蔽したドリル小渕のお父さんは、当時かなりの危機感をもって内閣を組閣し、未曽有ともいうべき40兆円の真水による財政出動の経済対策を打つことになります。
しかし株価はそれでも4割下落することとなり、日本の景気の低迷と個人所得の減少はここからまさに20年以上継続することとなるのです。4割の株価下落といいますが個別株では3割以下の価格になったものも続出で、決して指数だけでは語れないほど株式市場を巡る状況はよろしくなかったのが実情で、今の水準でいいますと2万4000円が1万5000円以下の水準まで下落したことになるわけです。
HSBCの試算によると日銀がETFで日経平均を買い上げている効果がほぼ8000円程度ということですから、98年と同じような状況になればこの分がすっかり剥落して1万5000円台に逆戻りする可能性はないとは言えないことがよくわかります。
トランプは強気に動くが日経平均がそれに追随できるとは思えない
現状では皆さまご存知のとおり武漢肺炎が本格的に経済に影響を及ぼし始めており、10日から一部の企業や工場などでは仕事が再開になっているようですが、実態としてはほとんど機能不全の状態が続いています。
この問題が起きてから春節を挟んでかれこれ1か月が経過しようとしているわけですが、3月一杯まではこの調子が続く可能性が高く、米国の医学雑誌に投稿された論文では4月一杯がピークになるという指摘もでていることから1~3月の中国経済はガタガタになるのは結果を見なくてもほぼ把握できる状況となってきています。
外需で中国依存の高い日本経済は消費増税の痛手の上にこの中国経済減速という外的要因を食らって経済成長はマイナス、さらに中国製品が国内に入ってこなくなることから消費もその分落ち込むことが容易に予想されるところでまったくいいところなしの状況が見え始めています。
テクニカル的には日経平均も2万4000円を回復して上方向に向かう可能性はないわけではないですが、毎回このコラムでもご紹介しているとおりリセッションに陥って史上最高値を更新する株式相場が示現したことは少なくとも日本ではありませんからそれはまさに奇跡を求める見方と言わざるをえません。
相場予測は個人の判断ですから上昇とみるのも下落と見るのも勝手ですが、もともとあり得ないものに期待するのだけはやめたほうがよろしいのではいかというのが私のアドバイスです。
クォンツ、AI,アルゴリズムの暗躍でセンチメントがよくわからなくなっているのは事実ですが、為替の世界でもショートが溜まり過ぎてショートカバーで上昇ということはあっても積極的に買いあがる材料がほとんどなくなっているのが実情で、このあたりの状況はかなり冷静に見て行く必要がある時間帯にさしかかってきています。