新型ウイルスによる肺炎の感染はスピード、発症者、死亡者ともに完全にSARSのレベルを大効く超えてしまい、SARSのときの2003年の相場動向などもほとんどベンチマークの参考にはならない厳しい状況に突入してしまっているようです。
しかもここへきて、これまで妙に中国に忖度するような言動を続けてきたWHOのテドロス事務局長が中国への渡航歴がない人々から新型コロナウイルスが広がった懸念されるケースがあるとして、同ウイルスに関して「われわれは氷山の一角しか見ていない恐れがある」とツイートでつぶやき始めたことが非常に注目されはじめています。
これまでもWHOは当該事案をパンデミックではないなどと発言していましたが、どうも状況は大きく変わってきているように思われます。
また、それとは別に中国で肺炎を発症して亡くなった人たちの症例が極めて激しいもので卒倒したり全身が痙攣して手の施しようがないままに亡くなるといったケールが海外の発症事例と必ずしも同じではないという指摘が多く医療関係者から見られるようになっており、こちらも武漢で徹底した調査に必要性が求められるようになっています。
米国の医学雑誌に投稿された論文によれが中国の新型肺炎は一人でほぼ2.68人のほかの人への感染となっており、このままの勢いでいけば武漢でピークになるのはやはり4月になってからという分析がされています。
これが広がりが収まるようであれば逆にピークは2週間近く遅くなる可能性も指摘されており、経済活動が再開するためにはさらに時間がかかる可能性もではじめています。
経済的な視点では日本はリセッション突入確定の可能性も
そうでなくても消費増税以降相当に景気が悪化している本邦の状況ですが、総務省が7日に発表した家計調査によりますと、2019年12月の2人以上の世帯における消費支出は物価変動を除いた実質ベースで前年同月比4.8%減と、3カ月連続のマイナスとなっています。
また17日に発表になる昨年10~12月のGDPについても日銀黒田総裁や西村経済再生担当大臣がすでにマイナスを示唆していますがその原因については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要はそんなに大きくはなかったし、その後の落ち込みもそんなに大きくないとしており、原因は10月から12月の期間は台風や暖冬の影響であると頑なに増税の影響を否定する内容になっています。
しかし台風と暖冬だけで3か月も消費支出が低迷していると説明するのにはかなり無理があり、実は消費増税だけでも本邦経済はマイナス成長に突入して仕舞っていることが垣間見えてくる状況です。
そこに今回の新型肺炎の騒動ですから、発症者の数云々の問題を別にしても中国国内での生産活動が大幅に遅滞をきたす状況が続けば確実に中国のGDPもマイナス化が進み日本経済も外需の悪化や国内での中国製品の消費激減から1~3月は継続してGDPがマイナスになる可能性が極めて高くなってきています。
当初は中国からの訪日客のインバウンド消費が減るという点だけがクローズアップされましたが、経済的に中国依存度の高い日本は相当な経済の減速影響を受けそうで、こちらのほうが大問題になりそうな気配です。
ドル円の上昇可能性は激減
こうなると為替でもドル円が110円台を大きく上抜けていける材料は非常に限られることになりそうで、それよりもパニックを引き起こすような大きなニュースのヘッドラインがでればたちまち円高方向に下落する危険性のほうを警戒しておく必要がありそうです。
妙に楽観的に推移した相場は米株のみそのまま継続することもありそうですが、本邦株はとてもではありませんがこうした上昇に追随できるような状況ではなくなっています。