米株を中心として中国のコロナウイルス起因の新型肺炎のまん延を全く無視するかのように株価は爆謄状態にあります。
FRBが隠れQEを行っているとはいえ、ここまで企業業績や景気の実態とは関係なく、しかも世界的に重大なリスクとなっている新型肺炎を全く気にすることなく相場が上昇してしまうことにかなりの違和感をもっているトレーダーの方も多いことと思います。
ドル円は110円を上抜けしかねない勢いになっていますので、為替相場も違和感満載の状況といえます。市場ではメルトアップ相場とかニューアブノーマルなどと呼ばれ始めているこの相場ですが、果たしてどこまで続くことになるのでしょうか。
米国では3月にスーパーチューズデーで下げにくい
大統領選挙年には2月末か3月の初旬に米国内において多くの州において同時に呼び選挙や党員集会が火曜日に行われることからスーパーチューズデーと呼ばれており、今年は3月3日、日本ではひな祭りの日に開催されることとなっています。
トランプ大統領は一般教書演説においても自らが大統領になってかr70%も株価が上昇しており、まさに自分のおかげであると自画自賛していますから、当然この3月3日に向けても米株が下げていることなどは望まないはずで、市場参加者の殆どがまたそう思い込んでいることが今の株高を大きく支えているのではないかという見方もでています。
テスラ株の推移を見ていると完全にバブル状態
今週米株でもっとも話題になったのがテスラ株の暴騰です。
テスラはここへきてようやく黒字転換していることに加え、中国から大量の資金融資を得たことで資金調達面で不安定な状況が解消したことなどが上昇の背景になっているようですが、それにしてもそれだけの材料でいきなり短期間に株価が倍になるほどの話ではなく、2月の4日に1000ドルに迫る勢いとなったのはさすがに市場でも驚きをもって見られたようです。
Data Yahoo
同社株に関してはかなり広範なヘッジファンドが莫大な売りポジションを保有していることから相当な含み損がでたものと思われますが、5日には早くも利益確定売りが大量にでて株価は700ドル台に押し戻されています。
こうした動きをみますと完全に2000年のITバブルの末期を思い起こさせられるものがありますが、相場が上がり始めるとそれまでほとんど関係なかった向きまで市場に参入に買い上げて暴騰が起きるという構図はバブルで言いますと相当末期的な状況であり、何かのきっかけで売りがかさむような形になればもともと業績相場ではないことからいきなり反落することも十分にあり得そうな状況になってきています。
バブル相場の末期感を市場が醸成しはじめている
バブル相場の末期は株とコモディティがもっとも走りやすいといいますが、うまく乗っかって利益がでればとにかく一旦相場から離れるのが鉄則で、儲かりついでに次に買いを押し目でいれようとするとだいたい下げに巻き込まれてそこまでに得た利益をすべて吐き出してあえなく退場というのが個人投資家の常であることは広く知られています。
今回もどこが反転ポイントになるのかは全くわかりませんが、新型肺炎の問題が相当危機的な状況になっている以上、我々の想定を超えた材料が飛び出せばいきなり相場に変化が起こることは十分にありえます。
為替に関しても現状から考えてドル円が110円台をどんどん上昇していくほどの材料はまったく見当たりませんし、機関投資家は110円台確実に売りを出してきますから実需に上昇をブロックされるリスクも高まります。
上昇トレンドが明確に出ているときにひとりだけ逆張りをするのはさすがに危険度満載ですが、今の相場について行くのはかなり危ないというのが正直な見方で、このタイミングでは一旦落ち着いて静観するのもひとつの方法ではないかと思います。
こうした異常相場は突然終焉するのが世の常です。いつ終わるのかを正確に予想することは残念ながらできませんが、これが11月の米国大統領選まで延々と継続するとはとても思えない状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)