2月4日NYタイムのドル円市場は米株の大幅な買戻しを受けて連動して上昇することとなり、なんと109円54銭レベルまで相場が上昇することとなりました。
中国起因の新型ウイルスの感染者は依然としてうなぎのぼり、死亡者も増えてなんら状況は好転していませんが、中国の対応期待から株が買い戻されたなどという後付けの説明が市場を駆け回っています。
まあ止むにやまれず何か説明をするための後付けの相場の後講釈ほどあてにならないものはないわけですが、ドル円のチャートをよく見ていきますと、相場で何が起きているのかが非常によくわかります。
まずはショートが溜まり過ぎたドル円
■ドル円15分足
推移上のチャートをご覧いただくとわかりますが、2月4日東京タイムから108.500円を割れなくなったドル円は日本株の上昇も寄与する形でじりじりと値を上げる動きをしていきます。
そもそも最初の段階でかなりショートが溜まりもはや下落しなくなっていたわけですが、その後相場が上昇していくたびに売り上がった向きが相当いたようで108.900円を超え始めたあたりで最初のストップロスをヒットしドル円は109円台を回復することになります。
こうした動きというのは決して買い圧力が強いわけではないのですが、ストップロスハンティングで買い向かうファンドやインターバンク勢がちょっと買いを強めてあげれば下がらないためにどんどん上昇してしまうという特徴があるのです。
とくに本邦の個人投資家はレベル感からドル円を売りまわる癖が相当強いことから109円を超えたあたりでは新たに売りで参入する向きも増えてきたはずですが、ここでも相場はショートに振れ過ぎてまったく下落しないままにストップをつけては上にあがりとうとう2月5日の朝5時すぎ9にはそこまでほとんど下げる動きを見せないままに109.500円を超える水準まで上昇してしまいます。
これは一般的にしっかりストップロスを置いた投資家のポジションを利用してここまで上昇したことが容易に想像できる状況です。
始末におえないのが損切しない本邦個人投資家の存在
こうしたストップロスをつけまくってじり高が延々と続くというのはドル円には相当よく見られる形です。
109円周辺には相当なオプションの設定観測もありましたが、こうしたオプション見合いでの売りすらもうまくワークしないほど戻り売りでしかも売り上がった向きが相当多かったであろうことは想像に違わない状況です。
多くの市場参加者はストップロスを置いていますので下がらずに持ち上げられると随時そのストップロスがヒットしじり高が延々と続く原動力になるわけですが、国内の個人投資家の場合はかなり厄介で証拠金をすべて失うまでは一切損切りをしませんからここまでドル円相場が上昇してもまだかなりの売りポジションが108.500円から109.500円レベルに残存していることが想像されます。
相場が逆に垂れてくるとこうしたポジション残存組がやれやれの買戻しを随時行うわけですから、完全にポジションがなくなるほど上昇しないかぎりまたしても延々と相場は下がらないという不思議な風景を続けることになってしまうのです。
上のチャートのように複数の主要市場の時間帯をまたいで一切相場が下がらない状況が延々と持続する場合は完全にこのパターンですからとにかく妙なレベル感だけで売りに回らずほとんどの損切りがついてこれ以上上がらないというレベルまでは絶対に相場に売りで参入しないことがお約束事となります。
ドル円の場合こうしたチャートの動きは年間に結構な回数見ることができます。これが始まったらとにかく買い向かいのほうに参加するか様子見をして最後まで見届けたうえで売りに回るかを決めて売買していくことがきわめて重要になるのです。
(この記事を書いた人:今市太郎)