読み込み中...いきなり新型肺炎の問題が市場に詳らかになった1月相場ですがその発症者の勢いは全く衰えることなく、特段鎮圧する特別なワクチンが開発されているわけでもない中で罹患者数はうなぎのぼりに増加してとうとう2月相場に突入することとなってしまいました。
この新型肺炎の件では31日の未明にようやくWHOが重い腰を上げて緊急事態宣言を発することとなりましたが、中国との人の行き来や交易は止めるべきではないとした、かなり中国よりの発言をするなど、世界的な保健機構であるにもかかわらずそれほど中立的で強力な力を持っていない組織であることがはからずも露見する事態となっています。
先週一週間の相場の初動はとにかくリスク回避ということで当たり前のように株も為替もリスク回避の動きを見せることとなりましたが、週の後半から理解不能の不思議な買戻しが示現するなど相当混乱した状況がではじめています。
地政学リスクと違って正確に肺炎リスクを織り込みきれない市場
ニュースのヘッドラインに連動したアルゴリズムが相場の初動を依然として先導していることからネガティブな材料がでればもちろん売られますと、ドル円も円高に進むわけですが、31日早朝にWHOが非常事態宣言を発令した直後からなにを間違ったのかヘッジファンドのアルゴリズムが株と為替の市場で突然買戻しの動きを見せ、米株もドル円も大きく値を戻すこととなってしまいました。
当然明けた31日の日本株市場でもさしたる材料がないままに日経平均が400円以上買い戻されるという極めて特異な事態になりましたが、結局その後は利益確定売りとなり227円程度の上げにまで戻して1月の取引を終えています。
しかし話はそれで終わることはなく同日のロンドン市場からまたしても下げ始めたドル円はLondon Fixのリバランスも手伝ってかいきなり109.800円レベルを下抜けし日足の200日移動平均線も突き抜けて108.300円台で推移することとなりました。
通常ですと週末下落したドル円は一旦買い戻してお仕舞いになることが多いのですが、先週金曜日（日本時間土曜日早朝）については戻りもないままに108．300円台で引けてしまい、週明け上海市場が始まる3日はさらに下落してスタートしてしまいそうな雰囲気になってきています。
もはや108円ジャストは目と鼻の先であり、下落が進めば1月8日イランの司令官殺害でリスクオフになった107.640円を再度試すような動きになりそうで、買い向かうにしても十分に引き付けて底をつけたかどうかを確認してからにすることが重要になりそうです。
2003年のSARSのケースはほとんど役に立たない
金融市場ではしきりにアナリストが2003年のSARSのときの相場の動きと足もとの状況をしきりに比較分析しているという話はこのコラムでもすでにご紹介しています。
どうやら今回の新型肺炎はあきらかにSARSの時を超え始めているようで、確かに致死率はSARSほどではないとされていますが、2003年のケースはすべて終わった後にカウントされた総数ですから今回の肺炎がSARSよりもリスクが少ないといった予測が正しいとは言えないのが現状になってきています。
Data IFENG NEWS
相場は株も為替も全く状況を織り込めていない
このようなパンデミックは過去にも何度も起きているわけですが、過剰に発達しすぎた足元のような資本市場で起きたケースが非常に限られていること、また更に危機的なエボラ出血熱のようなケースではアフリカなど限定地域だけで起きていることから主要国の金融市場に影響を与えたことが少ないことなどから、株式市場も為替市場も何をどこまで織り込めばいいいのかがほとんどわからないままに相場が乱高下するようになってきており、ようやく31日になって深く下落するサージングの状態に陥りつつあることがわかります。
とくにヘッドライン連動アルゴリズムの動きは実に余分であり、完全に間違ったような動きを示現する点には相当な注意が必要となります。こうなると今の激しい上下動の相場は当分続きそうでとにかく長くポジションをもつような取引手法はまだ手控えておいたほうがよさそうな状況になってきています。
（この記事を書いた人：今市太郎）
