20日の米国株式市場はキング牧師の生誕日の休日でお休みとなりましたが、とにかく1月の米株は猛烈な勢いで上昇しており、FRBの隠れQEと短期レポ市場への怒涛の資金投入がこの相場を支え続けていることがわかります。
こうなると米株相場は11月の大統領選挙まで延々と上昇してしまいそうにも思われるわけですが、実際の市場はどれだけ調子が良くても必ず下落する局面が訪れるものでとにかくずっと上昇するなどとはなかなか考えられないのが現実の世界です。
ただ株価が下がり始めるとトランプがまたしても大騒ぎしてFRBに対策を求めることは十分に考えられるだけにここからFRBが一体どうするのかにも関心が集まります。
上のチャートはS&P500の企業収益と実際の株価の乖離を示したチャートですが、90年代からの相場の動きを比較してみますと2000年のITバブルの時があきらかに株価だけが先行期待で嬢周防してしまい、その後バブル崩壊で完全に企業収益レベルに戻ってしまっていることがわかります。
そして右側の緑で囲っている部分が足元で上昇している異常なバブル相場であるわけですが、企業業績から考えれば完全に3割以上相場が持ちあがってしまっており、2000年のITバブルの崩壊のようなことがおきれば簡単に相場は今の水準の7掛けレベルまで下げることが予想されます。
こうなると今回バブル崩壊が起きた場合にはリーマンショックどころではない大幅な下落になることは容易に予想できるわけですが、果たしてそれが何をきっかけに起きるのかが非常に大きな問題になりつうあるといえます。
最大の引き金はFRBが資産買入をやめたときか
米系の金融機関のアナリストの予想ではFRBは最低2月までは現状の月間600億ドルのTビルの買い付けを継続するという見方から、4月末まで、さらに6月まで実施するという見方まで結構予想はバラついています。
しかしこれをやめた途端に株価は下落、債券も売られることになるのはFRBがもっともよく分かっているはずで、どのように足抜けするのか、あるいは本当に大統領選挙が終わるまでやめないのかが注目されるところです。
現状ではAIを実装したコンピュータの高速取引は隠れQE終了というゴングが鳴った途端に売り始める可能性がかなり高く、FRBの予想をはるかに超える形で相場の下落を引き出すリスクが高まっています。
企業決算の低下が意外な引き金になることも
また基本中の基本となる肝心の企業決算が悪化してきた場合には勢いだけで上昇した株価に冷や水がかけられる可能性は十分にありそうで、結構オーソドックスな理由で相場が大きく下落する危険性はありそうです。
冒頭でご紹介したように企業利益との乖離はすでに3割を超えているわけですから、大暴落とはいかなくてもこの3割のギャップを埋めることになればそれなりの大幅下落になるリスクはかなりあるといえそうで、ここからの決算シーズンの主要銘柄の株価からは目が離せなくなりそうです。
ヘッジファンド勢の半期決算は5月が多いことから春先までは彼らの決算対策利益確定売りにはまだ時間がありそうですが、なんの意味もなく大きく上昇しているだけの相場ですから萎み始めると非常に怖いものがあります。
株価の下落、債券価格の下落と金利の上昇はもっとも為替にも影響を与えるだけにいつ状況が変化するのかは非常に気になるところです。
相場には想定外の事態が発生するのはある意味つきものですから、それ以外の全く考えてもみなかったような材料でいきなり相場がドスンと下落するリスクについても当然考えておく必要がありそうで、動かない相場なのにリスクだけ意識しなくてはならないというのも相当つらい時間帯になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)