読み込み中...長きに渡って相場が振らされてきた米中通商協議の第一フェーズがようやく現地時間の15日の昼に調印となりました。市場は期待感から米株も買い上げられましたが、新しい材料がでてきたわけではないため大きな上げは縮小気味に展開しています。
散々続いてきた米中の通商協議に関する鬩ぎあいでしたが、意外とあっさり第一フェーズの調印にこぎつけられたことになり、ここからどのような交渉が継続するのかに市場の関心が集まるところです。
市場はここから先のマイルストーンが提示されるのではないかと期待したようですが、調印式に温和なムードは漂ったものの、特別さらにプラスに働くような情報は開示されていない状況です。
結局大統領選のために成果を演出した感がつよい今回の合意
年明け米国とイラクの問題が顕在化したことからかなり霞んだ印象がある米中の通商協議ですが、開示されたフェーズ１の合意内容には中国が農産物について2020年ならびに2021年にいくら購入するかが具体的に記載されています。
ちなみに2020年は日本円にして1兆4000億円弱、21年はさらに2兆1000億円程度の購入が約束されており、中国側のこの領域の関税の引き上げは回避されることを認めています。
エネルギー領域でも2020年に2兆円程度、2021年に3.5兆円規模のエネルギー製品の購入と原発関連の装置の購入も認めている内容となっています。これにともなって米国は中国を為替操作国から外す形となっていますが、既に実施済みの追加関税はあくまで上記の購入の約束が履行されるかどうかを見たうえ撤廃を決めるとしています。
米国にとっては一応交渉でそれなりの成果を得ることができたという演出にはなっていますが、そもそも中国がこの内容を本当に守る気があるのかどうかはわかりませんし、ここから先の協議は非常に難しいものだけが残る形となっておりどのように交渉が進むことになるのかはかなり気がかりな状況です。
技術移転と知的財産関連は相変わらず手付かずのまま
今回の調印ではもっぱら中国が米国から何をいくら購入するかが規定されていますが、通商協議のコアな部分である技術移転の問題や知的財産権の問題は引き続き継続審議となるようでトランプ大統領はできる限りはやくフェーズ２の交渉に入る旨を口にしていますが、実際にどうなるかはまだよくわからないというのが正直なところに見えます。
とりあえず大統領選を控えて休戦状態になったというのが正確なところのようで今年についてはさらなる進展が期待できるかどうかはまったく判らない状況にみえます。
またトランプ政権はファーウエイ製品については徹底的にブロックする意向のようで、まだまだ小競り合いは続きそうな気配です。
市場は材料出尽くしに
これで長きに渡ってもめてきて、ネガティブな報道がでるたびに相場の下落リスクがともなった米中交渉も一旦は休戦ということで市場は材料出尽くしの状況です。
ここから何が次なるテーマになるかですが、米株市場はとにかくFRBの隠れQEのおかげで押しがあればすぐに買い向かう向きが出てきており、このまま下げる気配は感じない状況です。
さすがに多少の調整はあってしかるべきだとは思うのですが、3月のスーパーチューズデーに向けてこのまま相場がじり高上昇を続けるのかさすがにどこかで一旦明確な調整局面を迎えるかによって為替のほうも動きが変化しそうです。
ドル円はさすがに110円までは乗せたものの、そこから猛烈に買いあがっていくにはなにか他の材料が必要なようで米中交渉の内容もすっかり織り込んでいるだけに再度110円台を上伸するのかどうかにも注目が集まるところです。
新年からまだたった半月ですが、相場の先行きはすでによくわからなくなりはじめています。
（この記事を書いた人：今市太郎）
