ようやく年初二週目の取引が終了しました。年末のドル円のポジション調整的な売り、そして事実上27日から新年となった米国市場における投機筋の新たなポジションづくりなどから下落気味のスタートとなったドル円はご存知のとおり年明けの米国のイラン革命防衛軍司令官ソレイマニの暗殺公表からいきなりリスクオフの展開となり、昨年1月3日のフラッシュクラッシュとはまったく異なる形で下落相場を展開することになりました。
結局気がついてみますとそれほど大きな押し目をつくることもなく全値戻しを実現し今後は109円台が割れないままにテクニカル的には110円方向を目指す動きが強まりながら週の取引を終えています。
それでも下方向を突っ込んで売った向きが結局切らされたのがそれなりのダメージになっているのか相場はあまり参加者の存在が感じられず動意も徐々に少なくなっているような気配が感じられ、果たして週明けからどのように動いていくのかが気になることろです。
ドル円が動きませんとクロス円も動きませんのでここからのドル円がどうなるかは市場にとっても大きな影響を与えそうで、また膠着状態に戻ることになると取引のしにくい状況に逆戻りしそうな状況になってきています。
雇用統計の結果を受けても大きく動かなくなったドル円
10日の金曜日は12月分の米国の雇用統計の発表がありましたが、非農業部門の雇用者数が前月から14万5000人増と、11月から鈍化し、市場予想の16万4000人増を下回り、失業率は昨年11月と同様に3.5%を維持し過去50年来の低水準を維持することとなりました。
時間当たり平均賃金は0.1%増と振るわず、結果的にこれを受けてドル円は109.470円レベルまで下落することとなりましたが、値動きは20銭程度と軽微なものに収まり週末ということもあってその後も大きな動きがないまま米株の売りの影響もあって109.487円レベルで週の取引を終えました。
テクニカル的には上値試しだが相当難しそうな状況
ドル円4時間足
さて、ここからの動きですが、昨年12月からのドル円の4時間足のチャートを見ますと3度ほど110円トライのチャンスがあったものの109.700円を簡単にクリアしていかれないものがあり110円にかけてノックアウトオプションがあったり実需の売りがあったりとそう簡単には110円を乗り越えていかれ無さそうな雰囲気が漂っています。
ドル円を下値で買い向かう本邦の個人投資家も107円台で買ったものを110円が近づくところでリカクし逆に売り向かうというディールを昨年秋口から延々と繰り返していることも分かってきていますのでここから110円を超えたとしてもまた激しく売り浴びせがでてきて頭を抑えられる可能性はかなり高まりそうです。
むしろ連日上がりまくってきた米株とそれに相関するように上昇してきた日経平均が1月一定の調整局面を迎えた場合にはドル円も一旦下落する危険性があることからロングで上値について行くのは一旦避けて様子を見ることが重要になりそうです。
しかしながら下値もそれなりに固そうですから依然として108円から110円前後がレンジ幅になることが予想されます。1月日本株は戎天井などという言葉があるとおり結構弱含むことあがあり2月から再上昇となりやすいので先週のコラムでもお伝えしたようにドル円も上を試してだめならそれに影響を受ける形で一旦調整局面に入りそうな状況です。
一定の下落時には買い向かうのが絶好の押し目となりそうですが、日柄的にまだ時間がある話ですから、慌てずに落ち着いてテクニカル的に納得のいくポイントでのエントリーを実現させていきたいところです。
週明けには米国と中国の通商協議第一ラウンドの調印が米国で行われるようですが、既に市場は織り込んでしまっていますからこのイベントだけで相場が大きく動くとは思えない状況です。
また英国のEU離脱も議会で正式に1月末実施で決着がついており、イランと米国の小競り合いの間に昨年懸案となった事案がそれなりにクリアされてきています。相場は次なるテーマを探すことになるのかも知れませんが、動き始めるまでは様子を見るのもひとつの戦術になりそうな一週間です。
(この記事を書いた人:今市太郎)