年明けいきなりイラン革命防衛軍の司令官で国内では英雄として扱われていた将軍をいきなりドローン攻撃で殺害してしまったトランプの判断にはかなり驚かされました。
市場は2001年のテロのことをすっかり忘れてしまったのか海の向こうの地政学リスクは問題なく逆に押し目買いのチャンスとばかりに買い向かう向きが続出しリスクはなんら後退していないものの6日の米株市場の3指数は続伸するという動きになっています。
年末から年始にかけての過剰とも思われるFRBのレポ市場への資金供給は完全にバブル相場をサポートする材料となっており、株価はややもすればこのままじり高の高値を維持しつづけかねない状況になってきています。
米株がこの調子ですからドル円もイランの問題があっても驚くほど下げは限定的ですでに108円台に戻って推移しているますが、ひとたびなにかイランからの攻撃等の報道がでればたちまちリスクオフに転換しそうでなかなか取引がむずかしい時間帯にさしかかっているようです。
ウォール街はトランプの大統領再選を織り込みはじめている
そんな中でウォール街はすでに好景気と株高の維持からトランプが11月の大統領選で再選されることを早々と織り込みはじめているようで、多くの投資家も同様の視点をもって投資を行い始めているようです。
現状では民主党サイドの立候補者が乱立していることから誰が生き残るのかははっきりしないわけですが、このままの状況でいけばトランプが勝利する可能性が高いというのが大方の見方になっているようです。
足元ではすでにピークをつけた感が高い株の超楽観相場ですが、一旦ここから調整下落があっても夏以降大きく上昇しはじめ、11月の選挙結果を受けて年末までさらに新高値を追う動きになるのではないかといった予測をする向きが非常に多くなっているようです。
しかし逆にトランプがなんらかの理由で再選されなかった場合には逆にかなりのダメージを市場が受けるリスクが高まりそうで警戒する必要がでてきているようです。
イラン攻撃でわかったトランプがいることの潜在的リスク
イランの将軍殺害に関しては、既に国際法違反なのではないかという批判の声も上がっていますし、地上戦を含めた一般的な戦闘状態に陥らないとしてもイラン側からのテロやこの戦闘に絡む形で周辺国を巻き込む形で戦線が広がりを見せた場合には相当なリスクが高まることになり、とくに米国内でのテロが発生した場合にはかなりのダメージが発生することが危惧されます。
トランプ大統領はやられたらやり返す姿勢を強めていますが、こうなるとトランプがいることのリスクも当然高まるわけで株式市場が一方的にトランプ政権の継続をプラスに見ているのは間違いの可能性も出てきているわけです。
冷静に聞いていてもトランプ政権の中東戦略は既に支離滅裂の世界に入り始めており、ここまで戦争を極力避けてきたはずのトランプがこの領域にのめり込みはじめると再選前にかなり大きな問題が発生することも視野に入れておかなくてはならない状況です。
足もとでは市場は落ち着いた動きをしていますが、イラク発でなにか具体的な動きやテロの発生、さらに軍事衝突が出てきた場合には市場の様相が一変することだけは間違いなさそうで3月までは常に相場の下落に注意を払う必要がでてきているようです。
地政学リスクの問題はどこまで影響がでるのかわからないことから相場で取引するものにとっては非常にやりにくいものがありますが、ここからは気を抜かずに何が起きても対応できるようなトレードを続ける必要がありそうです。十分にご注意いただきたいと思います。
(この記事を書いた人:今市太郎)