感謝祭を前に米国の株式市場は史上値を更新し、見事に感謝祭ラリーを上昇で終える動きを示現することとなりましたが、その裏でどうやらヘッジファンドの閉店ラッシュがこの年末に加速しそうな状況で、感謝祭明けからの相場の影響が危惧されるところとなってきています。
著名ファンドが閉鎖の動き
ヘッジファドの閉鎖というのは年末最後になってみないと正確な情報が得られない秘匿中の秘匿といった案件になってしまいますが、どうやらこの年末に向けても投資成果の出なかったファンドが続々と閉鎖、あるいは場合によっては破綻といった動きになりそうな状況となってきています。
27日にはムーア・キャピタル・マネジメントの元トレーダーが始めたマクロ・ヘッジファンドのストーン・ミリナー・アセット・マネジメントという比較的米国では名の知れたファンドが清算を決めていますし、いわゆるグローバルマクロファンドの閉鎖も相次ぎそうな状況になってきています。
ファンドの閉鎖は手持ちポジションの一斉解消
幸か不幸か感謝祭で非常に高くなった米株を中心としてファンドの閉鎖売りは12月相場で顕在化しそうな状況で昨年も同様の動きがみられたものですが、ここからは清算のためのファンドの撒き戻し売買で各市場がかなり荒れることが予想されます。
とくにリスクパリティ戦略をとって幅広い市場でリスクを一定に保つ形で投資を行ってきたグローバルマクロファンドの閉鎖はかなり思わぬ市場での巻き戻しの動きを示現させることから想像以上に一定の市場が上昇したり下落したりするといった不可解な動きを示現させかねず相当な注意が必要です。
日本株の上昇もファンドの解消売買の巻き戻しが入っている可能性も
日経平均も米株と同じように順調に値を上げてきている状況ですが、よくよく考えてみますと米系ファンドは今年一貫して米株を買っては同量の日本株をショートするといういわゆるロング&ショート戦略に日経平均を利用していきています。
ですから、米株を売るということは日経平均を買い戻す行為になるのは当然の話で、これが相場を持ち上げていたののだとすれば米株の売りにさらに日本株の買いがでてそのあとは相場が大きく下がる可能性をはらんでいることがよくわかります。
ファンドの投資規模はレバレッジがかかっているだけに決して馬鹿にはできないものがあり、昨年も12月にそれなりのこうした売りがでたことは記憶に新しいところです。
実際閉鎖するファンドがどのぐらいでるのか、またどの市場に資金が回っているのかなど詳細が分かっているわけではありませんからファンドの閉鎖売りがどのように市場に示現してくるのかはまったくよくわかりませんが、高値を付けた米株がそれなりに売られるであろうことは容易に想像のつく状況で、年末さらに高値を予想している向きにはまったく異なる動きがでてくることは相当注意が必要になりそうです。
ドル高に巻き戻しの動きがでることにも注意
こうなると気になるのは為替におけるドル高で、こちらにも巻き戻しが入ることになるとここからドルストレートはそれほど上がらない可能性がでてくることになります。
年末については一定のドル需要が見込まれることからドル円も上昇しがちになりますが、果たして今年がそうしたシーズナルサイクルをそのまま示現することになるのかどうかにも注意が必要になりそうです。
足元の市場は総楽観の相場が延々と続いていますが、これがそのまま年末まで走るとは限らないことを常に意識しておく必要があるのではないでしょうか。くれぐれも12月相場にはお気をつけいだたきたいと思います。