今年もそろそろ年末が近づき、FXで獲得した利益の総額がいくらになるのかを考える時期がやってきています。
国内のFX業者を利用して得た利益の場合は申告分離課税が適用になりますから、儲かった利益総額から経費を差し引いて残った部分の金額に21.315%の税金だけ支払えば、ほかの収入への影響を与えることは全くありません。
ただ、海外FXを利用して利益が出た場合には他の収入と合算してトータルの金額に対して税金がかかりますから、もともと一定以上の収入があって大きな利益が出た場合は税率が高くなることも想定されることから、いくら来年に繰り越すことが効率的なのかを今頃から正確に考える必要がでてくることになります。
さらに今年50万円程度の利益がでている給与所得者で雑所得が他に一切ない場合には30万円を来年の利益にリスケして20万円以内に抑えることができれば確定申告の必要がなくなりますので、こういう方も真剣に利益の繰り延べを考えるべきでしょう。
具体的な繰り延べ方法は両建てによる損失の創造
それではどのように利益を繰り延べるかについてお話したいと思いますが、これはずばり両建てを使った売買方法ということになります。
たとえばドル円ならば1万通貨で1円相場の動きと逆のポジションを持てば1万円の含み損がでるわけですから、10万通貨で1円ならば10万円の含み損が発生することになります。
30万円の損失を作るということになると30万通貨で1円の損失が必要になりますからそれなりに相場が動いてくれないとそこまでの含み損が発生しないことになってしまいます。
これが想像以上に難しいもので、両建てならば片方に30万の損失がでればもう片方はほぼ同額の利益がでるわけですから、今年中に損失のでたほうを損切し残ったほうを来年までポジション持ち越しにして年明け早々にリカクすれば見事利益を繰り延べすることができることになるのです。
軽々しくドル円で30万通貨といいましたが、25倍のレバレッジですとドル円の価格が108.500円レベルの場合には、130万2000円の証拠金が必要になりますから、前後に動くことを考えれば150万以上の証拠金をもっていないとこうした両建てによる繰り延べができないことになる点には注意が必要です。
相場が動かないと想定して損失がでない可能性も
ここのところドル円でいいますと1日に50銭も動かない時間帯が非常に多くなり損失をむりやり作り出すのもなかなか大変です。
例えば今年10月末に108円で両建てをつくれば11月中盤までに109円にまでドル円は上昇していますから見事に1円分の含み損を作り出すことができているわけですが、仮にこの段階で1円分の含み損を損切してもその後ドル円は108.500円レベルに下がってきてしまっていますし、下手をすると年末までに108円を割れて利益を来年に繰り延べできなくなるリスクもあるのです。
したがってあまり早くにこうした両建ての繰り延べをしてしまいますと、結果的に損失だけ増やしておしまいということにもなりかねないのでタイミングは相当重要になります。
1円ではなく30銭の価格移動で同様の損失を作り出そうとした場合には取引量を3.3倍増やす必要がありますからそもそもそんなに証拠金を投入できるのかといった問題も発生してくることになります。
この両建てによる利益の繰り延べ法は完全に合法的なものでまったく脱税のような違法性はありませんが、自分の思った通りの金額をできるだけ年末に実現できるかどうかは正直なところやってみないとまったくわからないのが実情で完全に失敗するリスクを伴うこともあらかじめ理解して臨みたいところです。
正直なところあまり大きな金額の繰り延べに挑むのはそれなりの危険性があることはしっかり認識して実施を考えていただきたいと思います。
(この記事を書いた人:今市太郎)