11月も後半にさしかかり、為替相場はかなり材料出尽くし感が強くなりはじめています。
米国の株式市場は米中協議の進展期待が高まると大きく値を伸ばす動きになっていますが、やはりFRBの隠れQEがかなり効果を発揮しているようで、利下げ当面打ち止めでもまだまだ株価はじり高を続けそうな気配が濃厚になってきています。
ドル円は11日の週その米中貿易協議が難航しそうであるという報道を受けて109円台から転落し108円前半を攻める動きとなりました。テクニカル的にも109.500円を超えられなかったことから一旦上値追いが終了したかに見えましたが、逆に108円台初頭にはそれなりの実需と機関投資家の買いがあり下値も堅いことを改めて確認する動きとなったわけです。
15日のNYタイム、NYダウはまたしても史上最高値を更新する動きで、さすがにやり過ぎ感満載の状態ではありますが、アルゴリズムが思い切りトレンドの出た方向に買いあがっていますからこれでお仕舞いとは言えない状況で、買いあがる理由はさっぱり理解できないもののさらに上昇する可能性は否定できません。
週明け18日からの一週間は感謝祭前にまともに稼働する最後の週といっても過言ではない時間帯で週末金曜日のNYタイムに再度リスクオン相場に返り咲いた為替市場がどのような動きをするのかに注目が集まります。
結局材料は米中協議、トランプの弾劾ネタか
週明け相場はこれといった大きな指標の発表もありませんから相場はもっぱら米中協議の進展状況とトランプの弾劾ネタに左右されそうです。
国内ではまったくトランプ弾劾の話は話題になりませんが、全米のTVメディアはほぼ一日中この話をとりあげて徹底的に追及する動きを見せており、さすがに強気のトランプも記者の囲みの場で涙目になったという話が飛び交っていますが、その位厳しい状況に追い込まれているようです。
ただなかなか決定的な状況に至るものでないこともまた事実のようで果たして相場にどれだけの影響を与えるかが注目される状況です。
ひとつだけ可能性として考えられるのは、トランプが世間の目を変えさせるために中国との貿易交渉の第一弾を早めに決着させることで、これがでれば一時的にせよ相場はさらに吹き上がり、ドル円もそれにつられて再度109円を試すことが考えられます。
この場合は日柄的に感謝祭の前になんらかのアナウンスをすることも装丁されることから週明けと11月最終週には注意が必要です。
日本株は仕方なく買っているファンド勢も存在する模様
一方国内の株式市場に目をやりますと、企業決算が概ね悪いにも関わらず日経平均は大きな下げもないままにトレンドを伴ってじり高を維持しています。
足元では日銀もETFを買っていませんし本邦の個人投資家はほとんど売りに回っているという状況で、海外勢の買いが単なる売りからの買戻しなのか本格的な買い向かいが発生しているのかに関心が集まりつつあります。
一つ非常に面白いのはファンド勢が様々な商品、市場に分散投資を行っている関係上、数値上は割安感のある日本株を一定割合買わざるを得ない状況に陥っているという見方で決して上昇期待ではなく、ポートフォーリオ上一定額を買うだけの投資も結構でていることがこうした動きになっているのではないかという見方もひろがっています。
ただ、このようなリスクパリティ戦略の場合株価が下がり始めるとなんの躊躇もなく全数が売られるリスクがありますから決して喜ぶべき状況ではないことも意識しておく必要がありそうです。
あらゆる金融市場はその動きが完全に納得できるような動きにならないものですが、相場の結果がすべてであることは間違いありません。
したがっておかしいと思っても相場が動く方向に逆らわずについていくこと、あるいはレンジ相場なら逆張り主体で利益を上げることに専念したい一週間となりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)