11月第二週目、ドル円は6日に109.243円をつけ、その後いったん108円台に沈みましたが7日の午後に中国政府が米国との通商協議第一弾が合意したと語ったことが報道されたことからアルゴリズムがいち早く稼働し株も為替も相場は完全にリスクオン状態となりました。
ドル円は米株の大幅上昇を受けてLondon Fixに向けて大幅上昇に転じましたがさすがに109.500円を一回で超えることができず、8日のロンドンタイムに再度挑戦したものの、すでにここにはノックアウトオプションも仕込まれていることから簡単には抜けきらず、その後トランプの中国とは完全に合意ができているわけではないといった発言から一旦下落したものの109円台をキープした形で週の取引を終えています。
■ドル円1時間足
週明けはとにかく110円トライの可能性大
■ドル円日足(白線は200日MA)
ドル円は日足で200日移動平均線を上回る終値で週の取引を終えていますので、このままいけば週明けは当然110円をトライする動きが強まりそうです。
ただ、109.500円から上には相当な売りが並んでいるようですし、110円は過去にも相当抜けるのに時間のかかったポイントとなりますので、簡単に上抜けできるかどうかはまだよくわからない状況です。
巷では112円方向まで示唆するチャーティストも登場していますが、それほど上値は青天井というわけではなく、株価も上値はそうとういい線まで来ているところを見ますと上昇しなくなれば逆に売り場を探す展開になりそうです。
日柄的にみますと11月20日前後までに110円に到達できればさらに上値という可能性も否定はできませんが、週明けからの2週間で突破ができなかった場合には今度は下押しになるリスクも考えておく必要がありそうです。
今年の米国の感謝祭は28日木曜日で事実上この週は中盤からほとんどお休みとなりますから、株価も大きな変動があるとは思えない状況で、為替もそれまでに上昇の決着をつける必要がある時間帯であるといえます。
市場の総楽観状態はもはやMAX状態
足元の相場状況は総楽観が続いており、とくに米国の株式市場はFRBが隠れQEを行っている効果が相当あるようで行き場を失った資金が株価を押し上げるような動きになっているようです。
また先日ご紹介したVIX先物の売りもとうとう史上最大のポジションになっているようで、もはや誰しもがこの楽観相場が年末まで維持できると考え始めているようです。
しかし過去の事例から見ますと市場全体が総楽観に傾いたときに必ず足元をすくわれることが起きるのが世の常で、一体その引き金が何なのかは今のところまだわかりませんが、どこかで反転して激しい下落に見舞われるリスクを常に意識しておく必要がでてきています。
また相場の下落局面では迂闊に買い向かうと下落途上である可能性も高くなり、こちらも相当注意が必要です。
往々にしてバブル相場の最終局面、エリオット波動でいうところの5波というのは長く続くこともありますが突然終焉する可能性も高く、リーマンショックから11年を超えた足元の状況を考えますといきなりとん挫するリスクはここ10年でももっとも高くなっているといえます。
バブル相場の最後は怖いもの知らずの素人がもっとも儲けやすくなるのは事実ですが、たまたまラッキーな状況で大きく利益を出してしまいますと結果的にその後の下落相場でも強気に打って出てせっかく得た利益をすべて吐き出して大失敗してしまうことが非常に多くなります。
したがってこの上昇相場でうまく利益をゲットできた場合にはとくにその後の取引には十分に注意することがお勧めになりそうです。トレードの達人であるなどと自画自賛して強気で取り組みますとだいたいその後ろくなことは起こりません。この11月は十分な注意が必要です。
(この記事を書いた人:今市太郎)