7日のNY市場は米中の通商協議が合意間近かであるとの報道から株も為替も大きく動くこととなり、NYダウは一時280ドル以上の上昇となり、ドル円もついに109.300円を上抜けて109.500円に迫るところまで上昇しました。
しかしそこから上は一気に抜けることができず109.280円レベルでNYタイムを終えています。
■ドル円15分足 7日の相場の動き
今回の報道は中国サイドからまず政府の見解として報道が出たことから爆上げの大きな材料となりましたが、冷静に見ますと合意の内容については一切語られていませんし、調印がいつ行われるのかについてもなんら説明がされておりません。
それほど大喜びする内容なのかという疑問もわきますが、とにかくアルゴリズム主体の相場ということでドル円はLondon Fixに向けて一段と上昇をはじめ前回高値だった109.300円を抜けたことからさらに上値を試しそうな状況です。
ただ本邦の輸出税が相当109円台後半では売りを並べていることから簡単に110円に到達するとは思いにくい状況でもあります。
CNN・恐怖と欲望の指数は90入りで完全に楽観相場状態
米株相場における投資家のセンチメントを示すものとしてはVIX指数があまりにも有名ですが、それとは少し異なり投資家の心理的状況を示すものとして注目されるのがCNNが発表してるFear & Greed Index,日本語では恐怖と欲望の指数とでもいうバロメーターです。
これは投資家の恐怖と欲望の状況を0から100までの数値で表示することで、足元の状況を理解することができます。この数字が50を下回れば恐怖感がかなり高くなり、25以下にはれば恐怖の絶頂となります。
逆に50を超えれば楽観相場が進み75を超えれば超楽観相場実現となりますが、現状ではなんと90まで進んでおり、投資家の楽観度は最高潮に向かっていることがわかります。
この数値の生成に当たっては以下のような7つのファクターが利用されています。
・株価モメンタム:S&P500対125日間の移動平均から現在の株価がどれくらい乖離しているか
・株価の強さ:NY証券取引所で52週間の最高値と最低値を記録した株式の数
・株価の幅:株価が上昇している株と下落している株の数量の差
・プット・アンド・コー、・オプション プッシュ/コール・レシオ。強気なコール・オプションの取引量と弱気プット・オプションの取引量の差
・ジャンク債需要:投資適格債とジャンク債の利回りの差
・市場のボラティリティ:ボラティリティを測定するVIX・セーフヘブン需要 株式と国債のリターンの差
VIXよりも広範なデータを利用して数値を分析表示しているという点では相場の状況をかなり正確に示しているのがこのバロメーターの特徴といえそうですが、90という数字は相当楽観すぎる状態で皆が相場のさらなる上昇を感じる瞬間でもあり、いよいよ逆の方向へ相場が反転することがかなり近くなってきていることを示しています。
楽観相場に油断は禁物
エリオット波動における第五波の最終波動というのはどこまでもエクステンションすることもあれば途中で途端にとん挫することもあることから、今の無理やり作り出された中央銀行バブル相場の延命策がどこで途切れるかは全くよくわかりませんが、感謝祭まではなんとかもつとしても年末までこのまま突っ走れるのかどうかが大きな問題になりそうです。
ドル円に関して言えば時期的にもドル需要が高まることから少なくとも月の前半はこの状態が継続しそうですが、本邦の輸出勢は109円台後半にむけて鉄壁のような売りを並べているようで簡単に110円に到達すると考えるのは相当難しそうです。
むしろ株価のピークアウトから一気に調整局面に巻き込まれる可能性も十分に意識して対応していきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)