FRBの隠れQEの実施もあって米株はかなり堅調に推移しそうで、為替もドル円はそれ支えられた動きが続きそうな気配が濃厚になりつつあります。
またしても総楽観相場が継続という状況に見えますが、ひとつ非常に心配なのがVIX先物の売りが2017年に次いでまたしてもVIX先物を売りもちしている投機筋のボリュームが非常に多くなっている点です。
■Data COTレポート
トシカゴCMEが発表している最新のCOTレポートによりますと投機筋のVIX先物は大暴落が起きた2018年2月前のレベルにまで高まっているようで、前回価格が90%以上喪失して大きな損失をかかえることになったのをすっかり忘れたのかまたしても同じような売りの積みあがる状況が示現しはじめています。
たしかに今年もファンド勢はなかなか儲けにありつく機会がなかったことからこうした危ない橋をまたしても平気で渡らざるを得ないのかもしれませんが、株に比べて流動性が高い市場ではありませんから、VIX指数が上昇し始めると、とめどもなく数字は上昇するのでほとんどショートにしていた向きは資金を失いさらに大きな損失を免れなくなるのです。
なぜ同じ失敗を繰り返すのか?
2018年2月に突如上昇をはじめたVIX先物の場合大量にショートしていた市場参加者全員が即死状態の損失を被り、結果的に株価も大暴落に至ったのはほんの少し前のことのように鮮明な記憶ですが、なぜ同じ間違いを繰り返してしまうのでしょうか。
■Data COT
上のデータを見ますと2018年の年初に株価が当時史上最高値を付けたあたりから一気に投機筋がVIX先物を売り始めたのがわかりますが、2月には大きくVIXが上昇したことから一斉買戻しを余儀なくされ大変な損失を招いてしまい市場から退場したファンドマネージャーも大量に発生することとなりました。
足元ではまたその危険レベルを超えてVIXの売りが増加している状況です。投機筋は懲りないアホばかりといえばそれまでですが、2年もたたないうちに同じリスクを冒す向きが大量に出るというのはやはり何らかの理由があるからなのでしょう。
ひとつは人の出入りが激しくてしっかり過去の知見が活かされていないというのもあるのだろうと思いますが、もう一つはこうした危ない橋を渡らないとほかに利益を出せる資本市場がなくなっており、わかっていてもあえてやっている可能性が高いことが挙げられます。
そもそも大統領選挙の前年というのは昔から株価は下がらず年末にかけて上昇するという強いアノマリーがありますし、足元ではFRBgた隠れQEに利下げを行っているわけですからゴルディロックス相場継続と見るファンドマネージャーが多く即物的に儲かるVIX先物のショートに多くのファンドが群がってなんとか年末まで利益をあげたいと思うのはわからない話ではありません。
FXと違ってポジションが傾き過ぎたから問題という商品では決してありませんが、株式相場が変調を来した場合にはいきなり上昇しはじめて止めようがなくなることから考えますとこんなに危ない投資はないわけでリスクを厭わず投資しなくてはならないヘッジファンド勢のかなり厳しい状況が見え隠れしてくるものがあります。
ことしの年末にむけての相場は一応じり高上昇継続のようにも見えますが、想定外のことがおきた場合にはまた金融市場に相当なダメージがでそうですからVIXの動きには十分注意していただきたいと思います。
まさにこれが年末までの相場の暴落の大きなサインになる可能性があるわけですし、年末をかわしても来年早々に異変が起きるリスクは持ち越しになる危険性が高まります。
(この記事を書いた人:今市太郎)