10月動かない為替相場の中でも唯一元気だったポンドがいよいよ収束の時を迎えようとしているようです。
もちろんBREXITのすべてが終了したわけではありませんからまだまだ警戒が必要であることは確かですが、10月31日無理やり合意なき離脱をするということはどうやらその可能性がかなり低くなってきたようで、対ドルでパリティまで突き進むといったことも結局夢に終わりそうな状況になってきました。
まあとにかく報道のヘッドラインでアルゴリズムが過剰反応することから大きく動くのが常であったポンドドル、ポンド円ですが、これで選挙なりの次のスケジュールに向けて一旦収束し、また動き出すものと思われます。
果たしてこの相場どれだけの人が儲かったのやら
現状でこれまでの動きを振り返るのはまだ気が早い感じもしますが、10月31日に劇的なことが起きる可能性がかなり低くなったことから、これで安全な離脱へと駒を進めることになった場合にはさらに一定のポンドの買戻しがでることが予想されます。
■ポンドドル日足
推移ポンド円の日足の推移を改めて眺めてみますと今年8月12日に126.549円の底値をつけてから秋に向けて上昇し、また合意なき離脱の可能性が高まって10月に売りがかさみましたが、ショートが溜まり過ぎて結局10月8日アイルランド首相と英国の首相が極秘会談を実施したのをきっかけに大きく値を戻しここへきてまた多少の下押し時間帯に入っていることが確認できます。
こうなるとさらにここから悪い情報がでたとしても大きく下押しする可能性はかなり低くなりそうで、逆に下押し時は買い向かいのチャンスになることも想定されそうです。
このチャートを後からみますとああこういうことだったのかとわかるわけですが、実際にリアルな取引をしていますと動いた方向に深く売りを仕掛けてしまった方も多かったでしょうし、買戻しだけに専念して結構とれたという方も多かったのかも知れません。
しかしすべては結果論でニュースのヘッドラインで上下する相場はたとえうまく取れたとしても結局のところはギャンブル的にラッキーだっただけで、必ずしもFX取引がうまかったからとれたわけではないことは十分に理解しておきたいところです。
このコラムでも既にご紹介していますが、IMMの通貨ポジションの傾きが過度にポンド売りに傾いた時点でポンド買いをいれておきBREXITの結果が出る前に相場が買い戻しをかけてきたところで11円近いポンド円の上昇をとった人が実は最大の成功者であったのかも知れません。
政治ネタはまったくどうなるかわからない
為替は様々な材料で動くわけですが、このBREXIT騒動に関しては事前の予測もあまりうまく機能しませんでしたし、足元の状況でもこれからどうなるかがほとんど予測できない、かなり難しいイベントとなったことは事実です。
ポンドという暴れ通貨の性格上動き出したところにおもむろについて行き、トレーリングストップを置いて下がりだしたらリカクしてお仕舞いというやり方も日足のチャートを見ていますと何チャンスか機能したようにも見えますが、スキャルピングでこの相場に立ち向かうのはエントリー回数は多ければ多いほど負けを食らうリスクも多かったように思われます。
長くFXをやっていても政治的なイベントがこれだけ長期にわたって展開するというのはほとんど経験のないことですから、相場の見立てが様々に分かれるのは当たり前の話ですが、リスクがあるから売ってみるというきわめて一般的な発想はどうやら為替の世界ではあまりうまくワークしないことも痛感させられる数か月であったといえます。
10月でポンドが市場のテーマから脱落していくと、ここから先何で相場が動いていくのかかなり心配になりますが、11月は新たな相場展開が待ち受けることになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)