10月15日ぐらいになりますと毎年まことしやかにささやかれるのがヘッジファンドへの解約の45日ルールで、11月末が決算となるヘッジファンドの解約を45日前の10月15日までに行わなくてはならずその影響が相場に出るという話です。
しかしこの話には嘘と本当の部分が実は混在しており、そのまま受け取るわけにはいかない部分も多く含まれていると言われています。
しかしながらファンドの解約がでますとファンドはとにかく投資資金を回収しなくてはなりませんからそれなりに市場から資金が引き上げられ、とくに利益の出ている部分が売られる可能性はきわめて高くなりますから相場への影響は間違いなく出るのは事実のようです。
昨年の米株相場は象徴的なファンドの解約相場
ファンドの45日ルールというのは確かに存在するようですが、ヘッジファンドは8000社以上がうごめいており、しかも本邦企業のように3月末決算に揃えているところは意外に少ないことから10月15日が11月末決算の45日ルール特異日と見るのはさすがに無理があるようです。
しかし実際に10月から12月末にかけての決算となるところはかなり多いようで、この時期に儲かっていないファンドへの解約が集中することからとにかく顧客への資金返金のために投資資金を広範に引き上げることは事実といえます。
Data Tradingview
上のチャートは昨年のNYダウの価格推移ですが、ちょうど1年前の10月の頭に一旦ピークをつけたNYダウはその後12月に向けて駄々下がりをすることになりトランプ政権が年末にPPTのチームを招集して株価の下支えに全力を挙げるまではかなりの下落を示現することになってしまいました。
とくにこのタイミングではいわゆるFANGといった優良上昇銘柄が中心に売られることとなったのは記憶に新しいところですが、多くのファンドがこうした銘柄に集中投資をおこなっていただけに解約が相次げば当然儲かっているところから売りがでることになります。
しかもリスクパリティ戦略をとっているファンド勢は他のファンドから売りが出始めると自動的にそれに追随して売りを出してくることから分散投資を行っている商品のかなりの部分に売りが加速しやすいという大きな問題が起きることになるのです。
一方で面白いのはロング&ショート戦略をとるファンドの場合S&P500を買って日経平均を同額売るといった仕掛けをしていることからS&Pを売った場合には応分の日経平均を買い戻す動きにでたりすることから米株が下がっても日本株だけなぜか上がるといった不可解な動きを示現させてしまうこともあるのです。
今年もファンドの運用益は必ずしもよいわけではなく年末にかけて破綻や解散するところも多いと言われているだけに当然投資家の解約がこの時期に集中しそうな状況で、10月15日に限らずこの秋口から年末にかけてそれなりの相場の下落がこうした材料に起因して発生するリスクも考えておく必要がありそうです。
ドル円は10月に下落し11月以降上昇がシーズナルサイクル
昨年のドル円は10月にトップをつけてからそのまま後半下落し11月に持ち直すものの米株が大きく崩れた年末は連動するかのように下げる動きをみせています。
Data Tradingview
昨年10月には一旦114円兆をつけたわけですが、その後下落して正月3日104円台後半まで下げ、なんと10円近い値幅を示現したことになります。
今年はそこまでドル円がドラスティックに動くとは思えませんが、年末に向けて単純に上昇すると想定しておくと大きな間違いになる可能性もあることは意識しておくべきでしょう。
まずはここからの米株の動きを注視し、ドル円は一旦下げたところで11月に向けての上昇期待から買いをいれるとしてもその後ピークになればまた売りを考えるといったこまめな戦略が必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)