今年はまだ2か月半も残されているわけですが、どうもドル円の雲行きが怪しくなってきています。
■ドル円週足
今年のドル円の週足を改めてみてみますと年初にいきなり大きく下落したところから始まって4月までは比較的順調に上値を追う動きをみせていることがわかります。
しかしそこから8月まではが逆に下落局面に入り8月のお盆過ぎに年初来安値を下抜ける動きをしていることがわかります。しかしその動きは9月以降完全に収束してしまって今日に至っています。
ドル円今年はまさかの年間振幅8円だけか
実はもうひとつ長い期間のドル円の週足を見ますと長く続いた三角持ち合いをこの8月でようやく明確に下抜けたものの、どうもそのまま下方向を試すことがないままに戻ってしまい、また三角持ち合いの中に収容されてしまったことがわかります。
ドル円が年末にかけて下落するのではないかと見ていたテクニカルアナリストはすべからく失望する状況となってしまったわけですが、ここからよほどのことがない限り下値を試さずに終わる可能性が高まっており、結果的に今年はたった8円の年間値幅しか実現せずにドル円の取引が終わってしまうことがにわかに予想されはじめているのです。
2018年も年間の幅が10円なく非常に収束した動きに終始してしまったわけですが、今年はさらにそれを下回る低調な動きでドル円を扱うトレーダーにとってはきわめて利益機会の少ない1年になってしまいそうな状況です。
トランプ政権になってからドル円の動きは非常に限定的
ところでもうひとつ面白いデータとなっているのが上の週足の三角持ち合いが示されているチャートの青い水平線のラインです。
これはトランプ政権が誕生した2017年以降のドル円の値幅の動きを示したものですが、実はトランプが登場してからひどく相場が動くような印象を持っている方が多いものの実際には10円内外を継続し動いているだけで結果的にレンジ相場が延々と継続していることがあらためて確認できます。
ひとつにはこれはトランプのせいというよりも中央銀行が延々と緩和措置を続けており、相場が下落しそうになると手練手管でそのレベルを回復、維持させようとしているが故に起こっていることの一つともいえるのです。
米株も米債も異常に管理された状態が続いているために結果としてドル円もかなり安定的で狭い範囲の中で動く様になってしまっているというわけです。
日常的に値幅が減っていることからたまに3円近く動いてしまうとひどく価格に変化が現れたような印象をもつわけですが、年間値幅ということでみるとドル円はどんどん動きを収束させており、あまり取引妙味のない通貨ペアになってきていることがわかります。
FRBの隠れQE実施でさらにドル円相場は収束か
10月末には次回のFOMCでFRBが隠れQEを実施することがほぼ確定的になりつつありますが、こうなると株価は高値を維持することになることが予想されますし、ドル円もよほどの材料がない限りここから105円を下抜けて年間値幅を拡大し100円方向に動くことはなかなか考えにくくなってきています。
とはいえ112円方向へ動いてさらに上値を試すと考えるのも難しいものがあり、結果的に10月までに動いた値幅が年間値幅となるかのうせいはかなり高くなりそうです。
ここからのFX取引ではドル円ならはレンジを意識して枚数を増やすなりスキャルピングに徹するなりといった取引に対する考え方を変えていく必要もありそうで、ドル円以外の通貨ペアに目を向けてみることも重要になりそうです。
本来レンジ相場で大きく動かないというのは素人の個人投資家にとっては損失機会を減らすことですから決して悪いことではないのですが、大きく儲けようとすることができませんので、やはりやり方を変えてみるという発想の転換は重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)