10月31日を前に英国の動向が益々よくわからなくなりつつありますが、為替の世界ではポンドから波及して他の通貨にも大きな影響がでるだけ、ポンド取引をしなくても一体BREXITがどうなるのかについてはどうしても気にせざるを得ない時間帯が差し迫ってきています。
ここへきてボリスジョンソンがさらにプランBの仰天案を用意しているという噂が市場を駆け巡りはじめています。それがなんとメイ前首相とEUとが一旦合意し議会にはかった合意の修正案だということです。
この案はすでにメイ首相時代に議会ではねられたもので今さら出てくるようなものではないと思うのですが、一定期間は英国がEUの関税同盟に残留し、アイルランド国境管理問題を優先し、さらにその後英国とEU議会で承認を得るという内容に若干の修正を加えればたしかに全く合意なきではなく一定の合意をともなって離脱だけは10月31日は離脱を実現できるということになるようなのです。
いまさらこんな案をひっさげて話が進むのかどうかについてはまったく理解できませんし、そもそもメイ首相はなぜ辞任したのかを考えるとこういう案が承認されるのはちょっと信じられない状況ですが、他国のことですからやり方次第でありえる話なのかもしれません。
合意ある離脱ならポンドは買戻しなのか?
こうした案で合意がなされた場合に気になるのはポンドが買戻しになるのかどうかという問題です。
これまでのところは合意なき離脱かまたしても延期かということで前者の場合激しくポンドが売られることになるでしょうし、単純な延期ならリスクから遠ざかるということで買戻しが入ることになりそうなのはだいたい想像ができるわけです。
しかし、いきなり合意ある離脱というものが顕在化したときに果たしてポンドは買戻しになるのかどうかが気になります。
リスク視点から考えればなんらかの合意のある離脱が起きれば一旦は買戻しになるのでしょうが、英国にとって離脱がそれほど喜ばしいことになるとも思えないわけで、戻りを試すとまた売りになることも考えられそうで、さすがにこの時期事前想定していなかった案であることからちょっとびっくりする内容になりそうです。
17日18日のEUの理事会で早ければボリスジョンソンがこの案を持ち出してくることになる可能性がありそうで、その場合には31日を待たずに大きくポンドが買戻しになるという呆れる案もまだ残っていることを認識しておく必要がありそうです。
逆にボリスジョンソン辞任というリスクも
ただこの話だけでは完結しないのがBREXITのさらに複雑なところで、月末にむけて結果的にボリスジョンソンがとうとう行き詰って辞任するという可能性もまだ残されています。
この場合ポンドはどうなるかというのはメイ首相辞任後の動きにヒントがみえてきます。メイ首相辞任では当然のことながらポンドは売られることになりましたが、今回ボリスジョンソンが辞任した場合労働党に政権が移るようなことになればバリバリの社会主義者のコービン内閣になるというまさかの事態も考えられるだけにEU離脱とは別のリスクが頭をもたげてくることになります。
もう残り3週間かそこいらの話ですからあまりいろいろな選択肢を考えてリスク想定するようなことはしたくありませんが、実はまだまだ我々が想定していないようなシナリオがいきなり登場する可能性があることだけは覚悟をしておく必要がありそうです。
このコラムでも既に書いていますが、BREXITネタの相場の動きは当初想定したものとかなり異なっているわけですが、土壇場でさらに問題が顕在化することもありうる非常に厄介なテーマになってきているようです。10月半ばにはこうした動きがでることもありえますので、十分にお気を付けください。
(この記事を書いた人:今市太郎)