相場のFRBへの期待というものは際限のないもののようで、3日に発表された予想55.0を下回り2016年8月以降3年ぶりの低水準となったことから株価は大きく下げる展開からはじまり、ドル円もいきなり106.500円レベルまで下押しを余儀なくされることとなりました。
しかし米株のほうはこの指数が悪かったことから10月のFOMCで利下げが再度行われるのではないかという勝手な期待を高める結果となり逆に買い上げられて取引を終えています。
10月のFOMCではPOMOをQEの代替策として持ち出してくるのではないかという見方も高まっているわけですが、市場はやはりFRBに追加利下げを求めてこようとしていることがわかります。
勝手に市場がFRBに期待するという相場が常に継続するのはここ数年の市場では明確に現れるものとなっていますが、それにFRBが的確に応えられませんと相場は大荒れになるだけにパウエル議長の采配がまたしても重要になりつつあります。
■Data CME
毎度おなじみのCME・FedWatchでは10月末のFOMCでの利下げ期待がまたしても88.2%と高まりを見せており、市場はやはりFRBに景気悪化から利下げを強く要求していることが見えてきます。
景気が悪くなればみなFRB頼みという市場の安易な発想が延々と続くのも困ったものですが、次回FOMCが利下げを見送った場合にはまた相場が大きく崩れるリスクがつきまとっており、ここから1か月弱の中でFOMCメンバーがどのように市場と向き合って対話を進めていくのかが大きなポイントになってきそうです。
株も為替も昨年の動きに似てきている
こうした弱い先行指標が次々発表されることで株も為替も相場は弱含むようになっていますが。思い起こしてみますと昨年も10月に入って相場が急激に弱含むようになり年末に向けて大きな下げを経験しています。
どうも今年もその相場状況にかなり似てきており、少なくとも10月は下落相場のトレンドが明確にでてきそうな雰囲気になってきています。
もちろん昨年と同じ下げを示現することになるかどうかはまったくわかりませんが、シーズナルな相場の動きも手伝ってそれなりのボラティリティを伴って下落しそうな雰囲気がかなり高まってきていることがわかります。
景気減速感が顕在化で株価がもとに戻るのかどうかにも注目
米国の経済は世界的に見ても唯一の好景気を維持したものとして注目されてきたわけですが、とうとう景気拡大から121か月を経て減速感が漂いはじめており、単純な減速のみならず様々なところにきしみが出始めることが非常に危惧される状況になってきています。
米株がここから想定以上に下落する動きになれば米債が買われ金利が再度低下していくことからドル円も上昇ではなく明確に下落の動きを伴うことになるものと思われ、どこかで再度105円割れを試しにいきそうな状況になってきました。
一気に下押しするのかどうかはわかりませんが104円台中盤を下抜けると本当に101円台まで底値を見に行く動きがでる可能性があるだけにこの1か月のドル円の動きに注目していきたいところとなっています。
10月になっていきなりセンチメントが変わるというのはそれほど珍しいことではありませんが、ファンド勢の年末に向けての仕掛けを含めて相場の動きをじっくりと見極める冷静さが必要になってきそうです。
とくに9月相場にブルになっていた向きはいきなり10月だからと言って衣替えのように売り目線に切り替えるのは難しいものがありますが、相場の転換点にしっかり追随していくという目線は非常に重要になりそうです。
思い込みんだけで引き続き相場にエントリーしていますと大きな損失を免れなくなりますので一旦これまでの9月相場の意識を捨てることが大切です。
(この記事を書いた人:今市太郎)