為替相場は相変わらず方向感のない動きを継続中ですが、ここへきて市場から次回FOMCに対する観測が強まりつつあるようで注目を集めています。
これは前回のFOMC開催中にちょうど起きた米ドルの短期レポ金利が大幅上昇したことを鑑みて10月のFOMCでは利下げではなくQEの実施を検討するのではないかという見方です。
そもそも9月のレポ金利上昇から5日続けてNY連銀がOMO,オープンマーケットオペレーションを実施して市場にドル資金の供給を行う措置を実施し、10月10日までこの動きは継続中です。
FRBはこの動きを利用して次のFOMCにおいてPOMO.つまりパーマネントオープンマーケットオペレーションを実施することで事実上のQEをスタートさせるのではないかという観測が米系の複数の金融機関からではじめているわけです。
確かに現状の経済状況ではこれ以上予防という名のもとで利下げを進めることはできないでしょうし、このまま何もしないのではレポ金利の上昇を食い止めることはできなくなりますから、あえてQEという名称を使わないで同じ効果を発揮するPOMOの実施を画策するのではないかというのがこの観測の中身となるのです。
現状ではこれが隠れQEという形で実施される可能性はかなり高そうで、バーナンキ時代にも実際に行っていただけに実効性もある政策として機能していきそうな気配が高まっています。
果たして市場がそれだけで納得するのかどうか
昨晩のNYタイムに発表された米国のISM製造業景況が予想外に2カ月連続で50を割り込み景気後退から脱した2009年6月以降10年ぶり最低となったため米国経済が景気後退入りするとの懸念も再燃され、米株は大きく売られる形になりました。
いよいよ米国の経済指標にも先行指標に先行き悪化が示現し始めてきていることを示唆し始めているのです。それを受けて108円台中盤で上値と試そうとしていたドル円はいきなり108円近辺まで下落し、その後も下落が止まらずに107円60銭大まで下押しする展開となっています。
今週は雇用統計も控えていますが、もし10月にFRBが利下げを行わずにPOMOの実施だけを宣言した場合にすでに12月までで最大0.5%程度までの利下げを織り込んでしまっている市場がどのように反応するのかが非常に注目されるところです。
10月相場が下押しするのかどうかも注目
例年10月は米国株式が一旦下押しし10月末のハロウィン時期に下げ局面で買い場が訪れ、12月に向けて上昇するのがひとつのパターンになっていますが、足元の相場ではそうした動きが本当にでるのかどうかかなり怪しくなっており、結局レンジ相場が延々と続くだけなのではないかといった悲観的な見方も強くなってきています。
為替を見ていますとたしかにそんな印象があることは事実で、ドル円は上も相当重そうなことは1日の東京市場からロンドン市場でよくわかりましたが、下値も妙に堅く値幅がでない状態が続いています。
今年もあと90日あまりで終了ですからこのままの状況が続くとほとんど儲からない可能性もでてくるわけですが、FOMCから流れが変わってくれるともう少し中央銀行主導のバブル相場が延命することも期待できることから、やはり10月のFOMCに期待が集まりそうな状況になってきています。
多くの市場参加者がここからの相場の方向感を見出しにくいわけですから、とにかくあせらずに動きがでるところについて行くしかありませんが、10月相場も妙に難しいところにさしかかってしまった感があります。
わからないと思ったときには一旦休憩しながら様子をうかがうという余裕をもって臨んでいきたい場面のようにみえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)