足元のドルインデックスはとにかく高値どまりしており下落する気配が感じられません。9月初旬に比べれば若干下げはしていますが、基本的には強さを保った状態になっています。
ドル安を志向するトランプがなにか言い出してもまったくおかしくない水準であろうと思うわけですが、こうしたドル高が維持されているのには米国の社債市場に大きな理由がありそうです。
ドルインデックス Data Tradingview
米国の適格債発行の加速がドル買いを集めている可能性
9月に入って妙にドルが強い状態が続いている原因の一つとして考えられるのが米国での適格債発行のペースが著しく早くなっていることで、ブルームバークの報道では9月第一週だけでdも740億ドルを超える適格社債が発行されているというのですから、世界的に投資先がないなかで米国で社債を買う投資家が多いことがドル需要を高めているというのはまんざら嘘ではなさそうな状況です。
とくにドル円で考えてみた場合、本邦の機関投資家筋が債券を買っている可能性はかなり高そうで、一定の需要がはけるまではドル円のドル高が続くことも想定しておく必要がでてきているようです。
ただ、こうした需要は常態的に起きるものではなく、一定の期間で消化されてしまうことになりますから、ずっとそれに乗っているのもかなり心配です。足元で妙におとなしくなっているトランプが為替で吠え始めれば状況一変ということもあり得るだけに恐る恐るついていく相場になりつつあります。
ただし、ドル買い需要が旺盛な一方で105円レベルを社内の想定為替レートにしている本邦の輸出企業は108円を超えると確実に売りを出してきているようで、ここから簡単に109円、110円と相場が上昇することも考えにくい状況にみえます。
さらにドル円が上昇すれば実需で売りを出してくる向きも相当増えそうな状況です。さらに下値で買い支えるGPIFもドル高円安では手持ちのドルを売っているようですから上値は自ずと重くなることになりそうです。
相場のリスクオンが長く続くとは到底思えない
足元ではリスクオン相場が続いているようにも見えるわけですが、すでにこのコラムでもご紹介しているとおりアルゴリズムが妙に錯覚させるような相場を形成しているので、ちょっと楽観的な材料がでると驚くほどそれに反応する相場展開が続いているのが気味の悪さを増幅させています。
相場の方向感の見立てが自分のイメージと乖離しているからおかしいといくら吠えてみても意味はありませんが、年末まではまだ3か月半の時間があるわけですから、一定の下押しタイミングが登場することも意識しておく必要がありそうです。
しかしこれでドル円が上昇してしまいますと今年も本当に狭い値幅でお仕舞いになる可能性がありそうで、ほかの通貨ペアでの取引を想定することも必要になりそうなです。
リスク材料が減る気配もない状態
いまのところ10月までの中でもっともリスクが高いのは英国の合意なき離脱になりそうですが、これが延期になるのかボリスジョンソンが暴走して10月31日に無理やり離脱に持ち込むかによって相場への影響は相当高いものになりそうです。
かれこれ3年3か月もこのネタに相場は振り回されてきていますので、正直かなり飽きが来ていることも事実ですが、正確な合意なき離脱のリスクというものが相場に織り込まれていないだけに想定外の話がでてきてしまいますと驚くほどリスクオフの状況になりかねないのが今の相場で、まだまだ注意が必要なようです。
いまのところまだ我慢を続ける相場なのかもしれませんが、流れがいきなり変わることには相当注意深く見守る必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)