東証の出来高が9月に入ってさらに激減し1部売買代金は1兆3874億円にとどまり、前日に次ぐ今年2番目の低水準を維持しています。
前場のスタート時に米株の状況から多少は動くものの、動意があるのは午前中だけで後場になると動きはシュリンクし閑散に売りなしの状況が続いています。
夏枯れ相場が継続中だから仕方ないといった楽観的な声も聞こえてきますが、もはや外人勢は誰も買いに来ないのが定着しており、逆にS&P500を買ったらヘッジでTOPIXを売るといった動きが常態化する始末で、まったく外国人勢から相手にされなくなっていることがよくわかります。
証券関係者はいろいろ理由を並べ立てますが、結局のところ大きな原因は日銀による過度な買い支えが招いた流動性の欠如が一番の問題といえそうです。
2013年あたりは株の上昇と完全に連動する形でドル円も大きく上昇したものですが、今や上昇の原動力はどこにも見られないところに来てしまっています。
下げない相場はダイナミズムを失い投機筋は入ってこなくなる
2013年4月に黒田日銀が未曽有の量的緩和をはじめてから実に6年半近くが経過することになりますが、ETFによる株の買い支えは市場からすっかり流動性を欠くこととなってしまい、いわゆるファンド勢も日本株に資金をまわしてくることがとうとうなくなってしまったのが足元のすかすかの閑散相場の元凶となっているのは間違いなさそうです。
株価というのは循環が重要で下げがあるからそれをばねにして上昇するのが基本ですが、下げを一切許容せず一定の価格以上に常に釣り上げておくという不自然な相場は結局ボラティリティというものをすべて失うことになるためまったく投資妙味のない市場を形成してしまっているのは大きな問題で、ドル円が株価の上昇にあわせて連動して上昇するといったことはもはや一切見られないのが現状です。
日本株相場は投機筋からも中央銀行の介入し過ぎが相当嫌気されていることが明確にわかる状況となっています。
10月以降日本株はかなりの下げが予測される
97年4月に橋本内閣で2%の消費増税を行った後はGDPも大幅減少し、消費も雇用も悉くだめになるという極めて厳しい状況に陥り翌年98年には40兆円もの景気対策を打つことになりますが、日経平均はなんということもなく4割下落してしまいます。
今の株価でいえば昨年の10月につけた2万4500円から4割下がるとなると1万5000円も実現性の高い数字ということになります。
政府は2兆円程度の景気対策を打ち出そうとしていますが、株が10月から下落しはじめるのはもはや確定的な状況で為替がそれにどう引きずられることになるのかが非常に注目されるところです。
例年レーバーデーを超える米株も上昇し秋から年末にかけて株価上昇、それに連動するかのように円安が進みやすくなるものですが、今年はそうしたアノマリーがそのまま機能するとは思えないものがあり、米株がここから大きく崩れることになれば日本株も一段と下落を加速させるリスクが高まりそうです。
すでに3日の米株市場はすべての指数がマイナスに落ち込み、米中の貿易戦争を明確に嫌気しはじめており、これが98年の相場と同じような動きをした場合ここから相当な下落になるリスクが高まっています。
政治的にみてもドル円は上昇しにくいところにありますが、100に近づいたドルインデックスを見てトランプがドル高を騒ぎ出すことになれば為替の相場状況にも大きな変化が訪れることになることから注意が必要です。
どうも足元の相場は相当様子がおかしくなりつつあるようで、為替のディールを行うトレーダーは常に株価の推移に変化が出てきていないかどうかを確認していくことが非常に重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)