8月はまだ金曜日が残っていますが、事実上今月の取引はほぼお仕舞いという状況です。
8月のドル円相場は7月末から書いていましたとおりボラティリティが大きくなるのでかなり注意が必要であるとしていたわけですが、結果は予想通りで7月末のFOMCで一旦持ち上げられた相場はその後8月26日に年初来最安値を記録するまで実に4.9円弱の値幅で下落することとなり、当初の予想通りの展開となってしまいました。
※ドル円1時間足8月推移
1円以上のボラティリティの日が9日
8月に入ってから1日に1円ドル円が動いた日は、1日、2日、6日、7日、13日、14日、15日、23日、26日と実に9日あり、29日までの稼働日21日に対してほぼ半分ぐらいが1円以上の大きなボラティリティのある日となっていたことがあらためてわかります。
もちろん最終日の30日にまた波乱が起きないとは限りませんからこれでお仕舞いとは言い切れませんが、ここまでの動きだけでもかなり相場が動いていることはご理解いただけると思います。
ちなみに年初から7月まででドル円が1円以上動いたのは正月のフラッシュクラッシュを含めても6回しかありませんからいかにこの半年以上エネルギーを貯めてきたのかがよくわかります。
ファンダメンタルズをベースにしたコラムなのにアストロの話を持ち出して恐縮ですが、今年は新月の日に相場が大きく転換したり動き出すことが多く、30日はその新月に当たることに加え、金曜ロードショーにジブリの作品が登場するということで不吉な予感を示唆するトレーダーが増えています。
ジブリはともかく米株の動きが先鋭化する可能性は確かに否定できず、8月最終日といえどもかなり注意をした取引が必要になりそうです。
9月相場でさらなる下落に注意
例年9月もレイバーデーのお休みを終えますと本格的に市場参加者が相場に戻りドル円も年末に向けて上昇しやすい時間帯になるわけですが、果たして今年はそうした動きになるのかどうかまだ全く断定はできない状況で、やはりリアルな相場の動きを見ながら判断し、あまり思い込みで取引しないことが重要になりそうです。
まず米中貿易協議の実情はトランプのツイートだけからはよくわからなくなってきており、そんなにうまい交渉が進んでいるとは思えない状況です。
とくに9月からは関税率が引き上げになるとともに対象商品も非常に増えることになりますから中国経済にボディブローのように効いてくることは間違いなさそうで、景気が悪化するなら対ドルでの人民元レートはさらに下がるリスクがあり、アジアの近隣国が通貨の危機にさらされる可能性も高まります。
毎日少しずつ下げていますと人民元の下落も大したことではないように思われがちですが、中国企業は圧倒的にドルベースで債務をもっており、借り換えのタイミングになると元安は大きな問題につながることになるだけに楽観視は禁物の状況です。
18日(日本時間では19日午前3時)9月のFOMCが開催されますが、これが終わるまでは様子見になる可能性もありますし、逆に催促相場で先に株が下がるリスクも残されています。
何が最大の材料となって相場が動き出すかはまだ全くわからない状況ですから、下方向に向けての不意な相場の変動には引き続きかなり注意が必要になりそうです。
米系のファンド勢は結局のところ10月31日のBREXITの行方がはっきりするまでは株を長期視点で買い向かうことはできないとしているようですから、持ち合いの相場が結構長く続くことも視野に入れておくべき状況のようです。
テクニカル的に見ますとドル円はまだ下値の余地が結構あるだけに26日の大きな下落で年初来安値確定とは言えないところが・・ここからの相場の難しさを暗示しているようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)