足元ではトランプの中国為替操作国の認定が突然発表されたことから株も為替も大きく下落してはショートカバーで戻るといった非常に洗い展開が延々と続いていますが、いよいよ来週は本邦お盆休みということもあってここからの相場がどうなるのかが非常に気になる時間帯に入ってきています。
ところで市場では今年の米国株式市場が1998年のチャートの形に非常に酷似しているという噂がかなり広がっています。既にゼロヘッジなどのサイトでも紹介されたことから一般の投資家にもこの話題は広がりを見せており、8月に入ってからの大幅の相場の下落はまさに98年を彷彿とさせると注目されつつあります。
果たして今年もこの動きを完全にトレースすることになるのでしょうか。
Data ZeroHedge
今はやりのAI分析でも活用されるアナログチャート分析手法
これはチャートの形状の相似形を見つけるアナログチャート分析と呼ばれるもので過去にはポールチューダージョーンズがこれを使ってブラックフライデーで大儲けをしたという逸話もあるわけですが、AIが普及した今このアナログチャート分析というものが非常に注目されるようになってきているのです。
チャートの形状がアナログ的に同じ形状だから同様のことが起きるなどという稚拙な分析を利用して取引しても本当に当たるのか?という素朴な疑問は誰でも生じるものです。
しかし、実はこうしたチャート形状の似たものをさらにエスカレートさせて全く異なる金融市場を含めて気が遠くなるほどの枚数から相似形を見つけるという作業は最近のAIがもっとも得意としているものです。
相場を動かす要因を集めてその影響度などにプライオリティをつけてどうなるかといった分析は実はAIはほとんどしていない状況で、人が動かしている相場だからこそ非常に近似系のチャートをさがしたほうが先行きを見事に当てる可能性が極めて高いということが分かってきているというわけです。
実際いくつかのファンドはAIを利用して本当にこうした分析結果をもとにした投資を行っているようで、決して馬鹿にはならないものになってきているのです。
もし98年と同様の相場なら年初からの上昇2割分を失う可能性も
この98年のS&P500と今年の同市場の類似性は7月までかなり似通っていたわけですが、いよいよ8月に入って益々似通っている点が非常に注目されています。
もちろん相場を動かしている要因は98年と今では全く異なりますし、現状はもっぱら政治的な要因が大きなドライバーになっていますので、全く同じというわけにはいかないかもしれませんが、もしかなり類似した動きになった場合には年初につけた底値を再度試しかねないぐらい大きな下落を見るリスクもかなり高まっているといえるのです。
1998年のS&P500の相場の場合8月に大きく下落したあと一旦戻りを試すことになりますが、10月にはまた大きな下落に見舞わることになります。また為替のほうはといいますと、米株市場とは完全にはリンクしていいないというなかなか微妙な結果が98年には現れていましたが、足元の相場では米株が下がると確実にドル円も下落する相場展開になっており、連動感はかなり高まっています。
このチャートひとつだけを信用して取引するわけにはさすがに行きませんが、一つのベンチマークとして参考にしながら先行きを予想し取引していくことには使えそうな状況になってきています。
当たるか当たらないかはここから3週間の相場を実際に見ているとかなりはっきりするのではないでしょうか。よくも悪くもお楽しみということになってきました。
(この記事を書いた人:今市太郎)