梅雨が明けたらとにかく猛暑ということで昼間はだらだらしてすっかり為替の取引にも身が入らない週明け相場でしたが、ちょっと目を離している隙に案の定ドル円は105円台に突入し106円レベルがまったくサポートラインにならないまま下抜けてしまいました。
足元の材料としては中国が米国の関税の対抗措置を臭わせはじめていることで人民元はわざとか市場の需給かはっきりしませんが明確に1ドル7元をつきぬけて元安がきわめて目立つ相場となってきました。
果たしてこれが中国政府の対関税としての作為的なものなのかあるいは介入してもとのレベルに押しとどめることになるのかどうかが大きな見どころになりそうですが、さらに中国が国営企業に米国産農産物輸入の停止を要請との関係者の話が報道も飛び出し始めており、どうやら中国の抵抗は単に為替だけにはとどまらない嫌な雰囲気になってきています。NYタイム以降のトランプツイートによる反撃が恐ろしい状況です。
恐らくドル高を容認できないと為替まわりでなにか発言するリスクはかなり高そうで、今週は相当神経質な相場になりそうです。
突っ込み売りは捕まりやすいがそう大きく戻りも期待できないドル円
すでに5日の東京タイムに105.800円割れまでやっているドル円ですから、年初の最安値を試しに行く可能性は一段と高まったといえますが、ここからさらに下げるためにはなにか大きな燃料が必要になりそうでそれが何なのかを探す時間が続きそうな状況です。
内容的には相当政治が絡むものになってきていますから、まずは米国時間でのトランプ発言に厳重注意が必要になりますし東京タイムでは中国の反撃発言にかなり注意しなくてはならなさそうです。
中国元の対ドル7元を超えた元安はかなり久々で中国人民銀行が介入することで押し戻すのではないかといった憶測も出ていますが、故意にやっているとすれば元安放置は決定的なものになる可能性が高くこれまでとは異なる流れになるリスクも考えておく必要がありそうです。
さすがに米国が対中国人民元で介入に踏み切るとは思えませんが、さらに関税でしかけてくることも考えられるだけにここからの相場は目が離せない状況です。
中国人民元があまりにも下落してしまいますと中国本土からの資本の流出がかなり危惧されるところですが、経済の名を借りた戦争状態と認識すればその程度のことは大した問題にはならないとも思われ、我々の想像を超える事態に発展することも十分にありえそうです。
状況次第ではドル円100円に接近も想定しておくべき
こうなるとあまり断定して相場に入るのは危険が増すばかりですが、105円割れはもう目と鼻の先の話ですから、これを下抜けたときにはさらに100円に近づく場面も考えておくべきではないでしょうか。
ただ、あまりにも短時間での下げはどこかで大きく吹き戻しになることが多く、そのタイミングも意識しておきたいところです。為替的には久々に面白くなってきた相場ですが、前半大きく利益をとれてもどこかで失敗してすべてを失う悲しい夏というのはよくある話ですから、あまりのめり込んだ取引をしないのも重要になりそうです。
また米株市場がここからどのように反応するのかも注目されるところで、株価が大崩れすれば当然ドル円もそれに就ていくことになるでしょうし、全般的にクロス円が円高であることもドル円の上値を相当抑えていくことになりそうです。
8月はなにか大きな変動があるとは覚悟していましたがいよいよ始まったという感があります。日中は暑さもひとしおですから、とにかく無理せず相場も乗り切れるようにしたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)