読み込み中...FOMCを経て一旦大きく上昇したドル円は案の定108円すれすれのところまで下落をはじめた8月1日のNYタイムでしたが、夜中の二時過ぎにほぼすべての中国製品に関税を課す「対中制裁第4弾」を9月に発動すると表明したことから株も為替も大幅下落となり、ドル円は一気に107.260円レベルまで下押しするというまさかの展開になりました。
ライトハイザーをはじめとする交渉団が中国に訪問したと思ったらあっという間に交渉はお仕舞いで、また9月に開催することだけ決定させて戻ってくるあたりからおかしいとは思ったわけですが、結局停戦協定はこれで一旦破棄される形となったわけで8月相場はこの件だけでもかなりまたもめそうな展開となってきています。
この8月に交渉が進まないとなれば関税実施を阻止できるものがなくなるだけにこれまで以上に危険な状況になってきていることがあらためて確認っできる状況で、トランプの発言も単なる脅しではなくなってきている状況にありそうです。
香港情勢も極めてリスキーな状況に
香港情勢もここへきてデモ隊のし烈さが極まってきているようでいよいよ香港内に人民解放軍が投入されて本格的なデモ隊による粛清が始まる可能性がかなり高くなってきています。
当初は傘などさして比較的民間人総動員のパワーといった印象のものでしたが、どうも今のデモはかなり危険な雰囲気を醸し出しており、このまま習近平が黙ってみていられてレベルではなくなってきていることが非常に気になります。
米中の関係はここのところ偉く安心されすぎてきた感がありますが、火種は相当残っているのが現実で決して安心できないことを改めて感じさせられるところに差し掛かってきていることがわかります。
ドル円は引き続き戻り売りの体制を維持
109円台を上昇して上値抵抗線を抜けて見せたドル円はテクニカル的にはさらに上昇するという1998年の時の米国の利下げの雰囲気にかなり酷似しているといった見方も広がりましたが、やはりファンダメンタルズではドル円の上昇が許容されるはずもなく、ある意味予想どおりに下落の道を歩む8月相場になってきています。
確かにテクニカルだけで見ますと上に行きそうという推測もしたくなるわけですが、ドル円がかかえる政治的状況を考えますと、上方向に青天井が広がっている状況ではまったくありませんから、ポジションの傾き次第でショートカバーがでることは否定はしませんが、それを超えてドル円が110円方向に上昇するとみるのは明らかに間違いであると思われます。
このあたりは巷のテクニカルアナリストの安易な上昇への予想に惑わされないようにすべき時間帯であると思われます。
2日は雇用統計も控えていますが、すでに大きなイベントではなくなりつつあることから為替に与える影響はかなり弱まっており、とにかく戻ったら売りで対応する場として利用していくことがお勧めになりそうです。
アノマリー的に言っても8月はドル円にとってはとにかく下落しやすい時期であり、月間でみますと月の途中で下げて結構後半に戻すことも多くなるわけですが、月の半ばにむけて厳しい下押しが起きることも多いだけに今年の8月はとにかく下方向へのドル円の動きに気をつけたいところです。
また中国のことだけに気をとられがちですが、日米の通商交渉も確実に進展している模様で、全く何も語られませんが日本にとって不利な情報がここからいきなり飛び出してくる可能性はかなり高そうで、こちらもトランプツイートに相当注意が必要になりそうです。
相場には絶対というものはありませんが、一定のシナリオを予想したらそれと現実とがどのように乖離するのかあっているのかを常に確認して先に進むといった用心深さが要求される点には注意が必要です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
