1日朝3時に発表された米国FOMCの政策金利発表は大方の予想通り0.25%の利下げということになりました。
しかしその後のパウエル議長の記者発表の内容は米株に大きな失望売りを与えるものとなっており、ここからの8月相場の市場の反応が非常に注目されるものとなりそうです。
あくまで予防措置としながら追加利下げにも含みをもたせたパウエル
パウエル議長は会見でこの利下げの本質は、サイクル半ばでの政策調整だとわれわれは捉えているとし、あくまで予防的な措置で利下げに踏み切っていることを強調しています。
したがってこの利下げが緩和的な措置のはじまりや長期にわたる利下げのはじまりではないとしきりに弁明するとともに一度きりの利下げとも言っていないとなにやらかなり苦しい弁明に終始する場面もありました。
トランプ大統領からの利下げ恫喝には応じたものの十分なものにはなっていないとの脅かしを受ける可能性は高そうで、しかも株式市場の利下げ期待の織り込み度から考えると0.25%で当面打ち止めかもしれないといったニュアンスは大きく下落して催促する相場のボタンをパウエルが押してしまった可能性は高そうで、次のFOMCまで米株相場が下落するリスクはかなり高まったように見えます。
実際に会見を見た感想でいいますと、市場の期待にパウエルがかなり高いレベルで応えたとは言えないのが実情で予想以上に失望が広がったという感が否めない状況です。
恐らくその結果はここからさらに市場に相場価格となって明確に広がっていくことになるものと思われます。
ドル円は一旦109円に乗ったが上値は重く下方向への注意が依然必要
為替のほうはパウエル発言を受けて一旦ドル円も109円には乗りましたが、大きな買戻しが入るような状況にはなさそうで、ここからは東京タイム以降の相場状況を観察する必要はありますが、依然として下方向への動きに注意が必要になりそうです。
日本株の方はここから上昇する材料など皆無ですから米株の下落に引きずられるのは必定の状況で8月という日柄的な問題も含めて円高が進むことを相当意識しておくことが重要です。
来週を超えると国内はすぐにお盆休みに突入することになるわけですが、相場の下落に結びつかないことを祈りたい気分となってきています。2000年、2008年の米国の利下げの時にも相場はすぐには反応しませんでしたが、徐々に様子がおかしくなったのは記憶に新しいところで、ここからはその経験を活かして相場をチェックしていくべきでしょう。
そもそもこれだけの景気の状況が維持され、しかも株価も史上最高値の中で予防を全面に出して利下げを行ってしまったわけですから、既存の経済学的見解との整合性が全くないのは当たり前の話で、相場はもっぱら市場の反応次第になってきている点が非常に気になるところです。
相場は本質的な市場の変動もさることながら市場参加者のセンチメントが著しく変化することでも変調をきたすことがありえますので、パウエル発言に対する反応は非常に重要な時間帯に入ることになりそうです。
とりあえず一旦の材料は出尽くし状態となりそうですが、果たしてこれで夏枯れ閑散相場へと移行することになるのかも注目されるところで。さらにそれを超える動きになってきたときには相当注意しなくてはなりません。
今週は早くも雇用統計が週末に予定されていますが、こうした指標が材料にならない可能性もありそうです。まずは今晩のNYタイムで改めて相場がどのように反応するのかを待ちたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)