先週末実施された英国ジョンソン政権の支持率は10ポイント程度上昇したようで国民のこの政権への支持率は確実に高まっているようです。
着の身着のままも辞せずという新しいジョンソン政権を多くの国民が支持するというのも外から見ていますとかなり意外感があるわけですが、その位損得勘定では語れないほど英国民にとってはEUに管理される国に甘んじることをよしとしない部分があることがいまさらながらに見えてくる状況です。
ただ、ボリスジョンソンの発言はかなり過激で、すでに自らの政権をEUに対するWar Cabinetつまり戦時内閣であると言い放っていることから為替市場ではそれを嫌気してポンドが売られる展開になっています。
国民の中にもさすがに戦時内閣という言葉に抵抗感のある向きは多いようですが、21世紀のチャーチルを目指しているのかそれを評価する向きもそれなりに存在しているようです。
為替が下がる分株式市場のほうはそれほど悪い気がしないらしく意外にしっかりとした動きをみせていますが、この調子でいきますと10月31日までにかなりポンドが売り飛ばされるリスクもありそうで、これまでポンドの売買をされてきた個人投資家の方は相場の見方を結構大きく変えて対応していくことを迫られることになるのかもしれません。
とかく為替相場は悪い事態は噂の段階からどんどん織り込まれることになりますから結果としては大きく買い戻される可能性も残越されているのですが、このハードBREXITに関しては結果でさらに売り込まれるといった最悪の事態も想定しておく必要がありそうで、とにかくボリスジョンソンの発言に相当気をつけてトレードしていく必要がでてきているようです。
強気なジョンソン内閣はEU交渉が決裂することすら織り込み
どこまでハードBREXITを貫き通すことになるのかが非常に注目されるボリスジョンソンですが、本当にこのまままったく折れずに10月31日に向けて突っ込んでいくことになるのかどうかは今一つ判断できないところもあり、意外にねちっこい交渉からEUからなにかを引き出して優位に展開するなどという奇跡的なディールも全くあり得ないわけではない微妙な状況が続いています。
とはいえ調整ができる部分はかなり限られていることから最終的に英国に有利に展開する部分がでてくるのかどうかはかなり不透明で惨憺たる結果が示現することもシナリオの一つとして意識しておく必要がありそうです。
新内閣はEUとの交渉がまったくうまくいかないことすらも織り込みはじめているようで、その発言の勇ましさには目を見張るものがあります。
多少引きで見ますと、一時的にポンドが大きく売られることになったとしても、それが恒常的なものになるかどうかはまた別の話ですし、相対的な為替の流れの中では外部により大きな問題が示現することになれば一方的にポンドだけが売られることにはならない可能性もあり、ここからの為替はとにかく断定しないで状況をよく見ていくという姿勢を大切にしたほうがよさそうな状況となってきています。
トランプが大統領選に勝利する直前もトランプが勝てば悲劇的なほど株もドルも売られることになるという見方が大勢を占めていたわけですが、結局相場はそうならずに終わっているということを考えますと事前の市場関係者の予測ほど当たらないものはありませんから、まったく逆さまのシナリオというものも常に意識しておくことがポンドのここから4か月あまりの取引では重要になりそうです。
とくにアルゴリズムが相場の取引の大半を占めるようになってから人の裁量取引では考えられないような動きが頻繁に出るようになってきていますので、とにかく柔軟にトレードできる体制を維持していきたい状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)