市場の大方の予想通りボリスジョンソンがメイ首相の後継者としていよいよBREXITの最終局面に挑むことになります。
改めて確認するボリスジョンソンの経歴
このボリスジョンソン、生まれは米国ニューヨークで米国と英国の二重国籍をもっているようです。
オックスフォード大学を卒業後一旦コンサルティング会社に就職するものの退屈過ぎて一週間で退社、その後タイムズ紙で働くもの書いた記事で問題を起こし解雇、さらにその後デイリーテレグラフの記者となりEC特派員となっていますが、このころから反EC色が強かったようでねっからのEC嫌いという立ち位置はずっと変わっていないようです。
1994年からは政治コラムニストとして活躍しこのあたりから政治家にかなり近いラインを歩みだすことになります。2001年から庶民院議員を2期務め2008年にはロンドン市長に就任、2012年にロンドンオリンピックにかかわったことから世界的にもその知名度を得るようになっています。
2016年BREXITの問題が大きくなってからは外務大臣に就任していますが、英国民にEU離脱を散々焚きつけながら自分は逃げ出すという動きをとりメイ首相がキャメロンの後継者となったものの結局2年かけてもなんら具体的なEU離脱の道筋をつくることができないまま期日を迎えてしまい、いまさら再度BREXITの場にボリスジョンソン自身が登場することになったというのがこれまでのあらすじといえます。
残された時間は極めて少ない
さて、この7月後半に入ってようやく首相に就任するボリスジョンソンですが、彼に残されている時間はほぼ3か月強で10月末まで引き延ばされたEUとのBREXIT交渉の期限が到来することになります。
キャメロン元首相がEU離脱のための国民投票を政権公約としてから実に6年もの時間が経過したことになるわけですが、保守党は結局プラクティカルなEU離脱の詳細シナリオというものを全く描けないままにここまで来ており、いまさらそれを引き継いだボリスジョンソンにも残されているのは政治的な立ち回りと勢いだけというかなり危うい状況が継続中です。
どんなにクリティカルな状況でも平気で夏休みだけはとる議会を考えれば実質的に残されている時間はほぼ2か月あまりで、物理的な国境問題などにこの時間で新たな解決策が見つかるとは思えず、EUとの交渉とともに英国議会をどうねじ伏せるかといった政治的な手腕にほとんどその期待が集まるところとなりつつあります。
唯一可能性があるかもしれないのはEUサイドがこのタイミングから執行部が大きく変わることで、これまでのUKの離脱に厳しかった要人が須らく入れ替わることから多少なりども新たな交渉の余地がでることもほのかな望みとしては存在することになりそうです。
英国はこの3年あまりのBREXITドタバタ劇でかなり経済が先行して疲弊していることは間違いなく既にリセッション入りしているのではないかという見方も強まりつつあります。
これまではハードBREXITによる弊害はさまざまに語られてきましたがここからは本当に現実のものとして示現する可能性が非常に強く、一旦は戻る動きになるであろうポンドもどこかでまた激しく売られるタイミングが到来しそうな状況です。
ポンドを巡る動きに関しては市場参加者はBREXITネタにかなり飽きを感じていることもまた事実ですが、ここからはまったく想定外のことが起きる可能性はかなり高そうで、既存のパラダイムだけで考えるのではなく異なる動きが市場に示現して圧倒してしまうリスクについても一応想定をしておくべき時間帯に入っているといえるのではないでしょうか。
ポンドはこれまでにないリスクに直面しようとしている感が強まっています。
(この記事を書いた人:今市太郎)