長らくお待たせ状態が続いていた英国の次期首相ですが、なぜ人気が高いのかは国外の人間にとってはもう一つよくわからないものの、どうやらボリスジョンソンに決まりのようです。
それとともに合意なき離脱が本格的に現実のものとなってきていることからここへ来てポンドが首相通貨に対して大きく売られる展開となっています。
市場では7月FOMCの利下げも織り込む形となっており実際のFOMCの結果待ちまでここ2週間あまりあることから現在EUと合意された離脱案の要である「バックストップ」条項を新首相が破棄するといった報道を受けて参加者は一斉にポンドに目がいってしまったようでとにかく売り浴びせから大きく相場が下落する展開となっています。
ボリス・ジョンソンは10月31日には必ず離脱すると宣言しているものの、「合意なき離脱」となる可能性は100万分の1とも語って自信をのぞかせており、その自信がどこから来るのか真意がよくわからないところにさしかかっています。
ここ2年以上BREXITを見てきたものにとってはかなり飽きの来た話で、なにが本当なのかがわからないと相場に参加する気分になれないのも事実ですが、予想以上にポンドは売り込まれてしまった感があります。
ただ、あまりにも売りのバイアスがかかり過ぎている感もあり、ここからまたショートカバーがでる可能性にも注意が必要になってきているようです。
※GBP JPY 1時間足
着の身着のまま離脱の可能性が高まる
時間的に考えてみればすぐにわかる話ですが、7月に首相が決定したとしても英国議会は平気で夏休みはとるような所ですから10月の離脱まではあっという間のタイミングで、国境の問題にしても既にこの段階で何か決定的なソリューションができていない限り、本当に何も解決がつかないまま離脱期限に突っ込む可能性は十分にありそうです。
そもそも5月時点でもEUからの妥協策に乗らないかぎりなんら解決ははかられなかったはずなのですが、メイ首相の辞任でBREXITの要件自体がはっきりしないまま7月の今を迎えてしまっている状況です。
ボリスジョンソンの合意なき離脱はないといった発言は単なるはったりなのか何か確信があるのか全く分かりませんが、いくら強気の展開となってもここからはウルトラCの解決策が飛び出してくる可能性はかなり低いのではないでしょうか。
ポンド円の下値余地はまだまだある状況
ここからいつポンド円が下落するのかはまさに政局とBREXITの中身次第ということになりそうですが、すでに景気はかなり冷え込み始めており、BOEによる利下げも視野に入り始めていますので結果によっては2016年10月につけた119.198円レベルまでさらに15円ほど下値を試す可能性は残されそうです。
ただしここからのスケジュールが明確になっているわけではありませんから、今回のように報道ベースで大きく売られるタイミングがどこで来るのかは依然としてはっきりしない状況です。
政治ベースでかなりこの2年間動いてきたポンドでしたが、やはり決定的な解決策のないままにBREXITに突き進んで想像以上に悲惨な結果を迎える確率も相当高まっているようですので、しっかりテクニカルを見ながら戻り売りをして臨むのが結果的に大きな利益になりそうな気配となっています。
相場はまたしても膠着状態で大きく動きませんからポンドに市場の目があつまるのはよくわかりますが、一方向に動き出すと大きく巻き込まれやすいポンドのことですから、ここからはかなり慎重に対応することが必要になりそうです。またタイトなストップロスを入れて間違ったと思ったら迷わず一旦相場から撤退する勇気も必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)