G20を通過して国内はすっかり参議院選挙選モードに入りつつあるようです。
本来この結果を見てから消費増税判断をするのではないかとさえ言われていた日銀の短観・企業短期経済観測調査が発表されて、やはり大方の予想通り悪い結果が出たことで、このまま10月消費増税が実施されれば国内景気は相当冷え込むのではないかと危惧する声が高まりつつあります。
しかしもう決めてしまったことですからここからはどうすることもできず、妙なポイント還元などが実施されても景気の下支えにはならない可能性が高まっています。
直近の相場は日銀の短観結果をそれほど意識してはいないように見られますが、我々が体感している景気の悪さがいよいよ指標にも明確に表れてきている状況のようで、株式をはじめとする相場にもその影響が出始めるのはもはや時間の問題になってきているようです。
だれが見てもよろしくない景況感
日銀が四半期ごとに実施している企業短期経済観測調査・いわゆる日銀短観の6月調査で大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は3月の前回調査から悪化で二期連続の悪化となりました。
非製造業のDIは多少上向きましたが、製造業のDIが2期連続下落というのはかなり深刻で、戦後最長の景気拡大とする内閣府の見たてとリアルなマーケットの状況にかなりの乖離があることはどうやら間違いなさそうな状況です。
とくに勤労世帯の実質賃金が全く伸びていないのは深刻で、経済指標上ではちっとも物価は上がっていないようにみえますが、実際には増税の支払いも多く円安による商品価格の上昇はそれなりにありますから、このタイミングに増税をしていいはずはないのですが、なぜか止めることはしなかったわけです。
昨年度の税収は過去最大の60兆円ということですから、本来は無理をしてこのタイミングで増税をする必要もないと思われるのですが、今の政権は財務省に借りがあるのか執拗に増税の実施を持ち出してきており、とてもではないですが止めることはできないようです。
増税前倒しの商品購入すらでない?
10月の消費増税ということであれば本来この時期から前倒しの大型商品購入などがでてもおかしくはないわけですが、今年はまったくそういう兆候が見られないということで、自動車などもどうも前倒し消費がでなさそうな状況になってきているようです。
要は増税ならば節約して使わない方を選択肢にしている家計が増えていることがわかります。
景気の先行きを示す株価が上がるはすもない
こうなってくると足もとでは参議院選対策でなにかと下支えが多くなる日本株は選挙後結構大きく下げる可能性も高そうで、先進国中日本だけが先行してリセッションに向かってしまう心配をする必要がでてきているようです。
とにかく今は米国の景気や株価、債券状況をみながら取引しているトレーダーが多いことと思いますが、どうもここからは日本の景気状況にも相当神経をとがらせていくことが必要になりそうな嫌な雰囲気が漂いはじめています。
すでに多くの外人投資家は日本株から離れ始めており、逆にS&P500を買ってTOPIXを売るといった両建てによるリスク回避法を展開する向きまで出現しているようで日本株は相当具合の悪いところにさしかかっています。
すでに株の上昇にはリンクしなくなっているドル円ですが、下落には想像以上に敏感に反応するのが常ですから、やはり注意が必要になりそうです。
これで米株が崩れだすようなことになれば日本株はさらに厳しいところに追い込まれることになりそうで、為替もここからは相当な注意を要する時間帯になってきているようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)