日銀が7月1日に発表した6月の全国企業短期経済観測調査によりますと大企業製造業の業況判断DIはプラス7となり前回の3月調査からさらに5ポイント悪化したことがわかりました。
非製造業のほうはプラス23で2ポイント改善しています。この大企業製造業の悪化は二期連続であり、政府がしきりに口にする景気は緩やかに改善とした見込みよりも明らかに悪化しており、このままの状態で消費税増税実施すればポイント還元などの施策が同時実施されたとしてもかなり消費が冷え込むことが予想されます。
本来はこの短観の結果を見て消費増税の可否を決定すると言われていたわけですが、それを前に実施を決めてしまったのはかなりの失策である可能性が高く、国内経済はかなりまずいことになりそうな嫌な予感が走ります。
一説にはもはや増税前の駆け込み需要すら見込めない状況で、このまま一億総節約社会に突入してしまいそうな状況で、景気を先取りすると言われている国内株の状況もここからよくなるはずもなく、かなり低迷することが予想されます。
とにかく足元では取引量が激減しており、海外勢はまったく国内株に興味を持たずむしろ敬遠していることが明確になってきている点が心配されます。
株価が上昇するわけもない状況
海外の投機筋は印象のみならず実数として日本への株式投資からかなり撤退しているようで、増税が実施されることでさらにこの傾向は強まることが予想されます。
東京証券取引所が発表した株式分布状況調査によりますと海外勢の2018年度末の日本株保有比率は29.1%と前年度から1.2ポイント低下し、アベノミクスが始まって以来最低の水準に逆戻りし、ほぼ2012年の水準まで落ち込んでいることが明らかになっています。
とにかくアベノミクス前に逆戻りしてしまったというのも相当ショックな話ですが、市場の状況を冷静にみれば仕方ない状況ともいえそうです。
思いおこせば、2013年アベノミクスのスタート時期は日銀の緩和も同時進行したことから株式市場に投入された海外から資金は実に15兆円を超え、しかも円安が進行することからヘッジとしてドル円の買い並行して入ることになったことからほぼ同額の15兆円規模のドル円の買いもあってドル円相場は大きく上昇しました。
しかし今ではこうした株と為替の連動はほとんど見られなくなっており、短期の投機筋が国内株に資金を入れてきても特段為替が一緒に買われるという動きは見られなくなっています。
あまりにも日銀が関与しすぎた人工相場は海外勢からの不信を増大させており、ここからは益々嫌気した相場になることも想定されます。
参議院選終了までは横展開継続か
G20が終了して一旦は上昇している株価ではありますが、ここからさらに大きく上伸するほどの材料があるわけではなく、参議院選を控えてPKO総動員で株価を支えることになるのでしょうから下値も堅いものながら上値を大きく追うこともできないまま横展開になる可能性は高そうです。
ドル円に関してはもっぱら米債の金利次第の状況ですが、7月末までは大きなイベントがあるわけでもないことから、なにもなければ108円台から107円台をうろうろする動きが続く可能性が高まります。
閑散に売りなしとはよく言ったものですが、日本株の魅力が激減している中、相場は下がりもしないが上がりもしない、非常に低調な取引を今月いっぱい続けていくことも覚悟したほうがよさそうな状況です。
市場に大きな変化が現れるとすればそれはもっぱら国内の問題ではなく海外の要因が引き金になりそうで、むしろロンドン市場から先の動きを注意することが重要になるのかも知れません。
(この記事を書いた人:今市太郎)