6月のFOMCでパウエル議長が利下げの意向を示唆したことからCMEのFedWatchでは7月利下げ確率が100%となりまさに市場に催促されて利下げを行うような状況になってきつつあります。
驚くのは利下げの回数に対する織り込み確率ですでに年末で合計4回利下げ、つまり1bp下げると見込んでいる向きが現状でも20%を超えているというのは相当やりすぎの感があります。
Data CME
端的に言えば利下げに対する異常なほどの催促相場の誕生で、一旦金利を下げればさらにその先を催促する恐るべき相場展開が年末に向けて待ち受けることになりそうで、はたいて市場の期待通りに相場が動くことになるのかどうかがかなり危惧される状況になってきています。
米株の上昇も異常な雰囲気
Data Tradingview
一方米株のほうも異常な雰囲気で上昇を加速しています。S&P500は史上最高値更新ですしNYダウももはや上抜けは時間の問題になってきているようです。
確かに中央銀行の緩和措置がさらに継続し、また金利が下がるということはプラスに働く可能性が十分にありますが、企業業績が伴っているわけでもなんでもないのですから、史上最高値を連続更新してこれだけでさらに上値を追う相場が本当に持続できるのかは市場に参加しているだれもが思っている大きな疑問です。
例年7月の米株相場は比較的堅調に推移しますからこのまま7月末のFOMCまで突き進んでしまうのかもしれませんが、気味の悪さは格別ということになりそうです。
もちろん短期の投機筋は買い向かっているようですが、個人投資家などはついてきていないようですし企業の自社株買いだけが支えになっている可能性もありそうで、どこまで持続力があるのかがここからの大きな問題になりそうです。
米債金利の底打ち反転にも注意が必要
下がりに下がっている米債金利のほうですが、たしかに年間4回の利下げまで織り込んでしまうとさらに下落の可能性は残るものの、いまのところ見えているのは7月の0.25ないし0.5bp程度でそこから先は本当に継続利下げが行われるかどうかは全く分からない状況です。
新債券の帝王ジェフリーガンドラックはどこかで米債金利が反転して上昇し始めるのではないかとしていますが、ここに動きが出るようですと確かにかなり状況は変化する可能性があり、足元で見えている市場の動きと全く逆さまの方向に相場が動く可能性もあることだけは考えておく必要がありそうです。
市場は正しい動きをする場ではないがおかしい問題は修正される
経済学的に見ていくら納得がいかないと嘆いてみても実際に動いている相場がすべてですから仕方ないのですが、この株価と債券の動きはどちらかが間違っている可能性が高そうで、どこかのタイミングで一気に修正がかかるリスクも意識しておく必要がありそうです。
もともと2017年の初めごろからそれまでの各資本市場間の相場の相関、非相関性というものはすっかり崩れてきている状況ですが、それでも修正がかかることはよくあるもので、市場参加者の見立てが崩れた場合にはかなりの巻き戻しにあう危険性も考えておく必要がありそうです。
そもそも中央銀行バブルの最終局面に到達しているわけですからバブルの最後ほどよく走るもので思わぬところまでオーバーシュート気味に展開する可能性は十分ありそうです。
しかし、どうもそれについていく気にはならないのが正直なところで、ドル円も多少は戻りを試すのかも知れませんが、ここから買う気には全くなれない気分です。もうすぐ7月ですが、ここからは冷静に相場の動きを確認しながら売買していくことが求められそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)