ムーディーズが14日トルコの信用格付けをBa3からB1に引き下げたことからトルコリラは主要通貨に対して大きく値を下げて週の取引を終えており、さらに週明けからより大きな下落が示現する心配があります。
この引き下げは昨年8月以来で国際収支の悪化に加え債務不履行のリスクが高まっていることがその背景にあるようです。
トルコ政府はすかさず声明を発表しムーディーズの格下げはその公平性や客観性を疑問視せざるを得ないと非難をしていますがもはやどうしようもない状況でトルコリラ円も月滅に向けてさらなる下落が心配されるところです。
トルコリラ円5分足
トランプ・エルドアン会談もうまくいく可能性ほとんどなし
月末のG20の開催と並行して米国のトランプ大統領とトルコエルドアン大統領の会談が日本で開催される予定ですが、実はトルコはロシア製ミサイルS-400を既に発注済みということで7月にも納品されることから、米国との関係を改善できる状況にはないのが実情であり、会談が実施されてもなんら好転する可能性がなくなりつつあります。
そもそもNATOのレーダー網を使ってロシア製のミサイルを飛ばすということはあり得ない選択肢であり、これを決めてしまっている状態でなんら撤回もなければトランプとの会談に進展がみられるはずもない状況です。
この会談が予想通り失敗に終わった場合トルコリラはさらに売り込まれる可能性が高まり、昨年8月のトルコリラ円の史上最安値15.250円を試しにいくリスクすらありそうです。
トルコリラ円日足推移既にお気づきの方も多いことと思いますが、トルコリラ円では年初のフラッシュクラッシュのときにつけた安値をトルコリラ円は完全に下抜けていますので、さらに下追いをする可能性は高く、ドル円にも影響がでるかどうかが注目されるところです。
時すでに遅しではあるが一旦損切が適切な選択
相場は既に土曜の早朝にムーディーズの発表を受けて下落し始めていますのでもはや遅きに失した感がありますが、このままスワップ狙いでロングポジションを持ち続けるのはかなり危ない行為になりそうで、とにかく一旦損切して様子を見ることが必要になりそうです。
状況次第では昨年8月の底値を下抜ける可能性がありそうですから、レベル感だけで買い向かったりナンピンを続けたりするのは完全に危険行為といえるでしょう。
この時期に高い金利がつくという意味をよく考えるべき
FXでテクニカルだけでトレードをしていますと法定通貨がどういう国なのかということを全く知らずにトレードする向きが結構いるのが実情です。
もちろんスキャルピングのようなものであればプライスアクションだけで売買ができるというのは紛れもない事実ですが、ことスワップ狙いの長期ポジション保有ともなれば、それにかかるリスクは尋常なものではないことをあらためて認識する必要があります。
米国をはじめとして主要国は再度政策金利を下げようとしているわけですから、いまごろ高い金利を維持していいることがどういうリスクをもたらすのかについてしっかりとした理解がないと結局大損してお仕舞になりかねずかなり心配されるところです。
勢い海外のゼロカットシステムが実装されている業者でドルトルコリラやユーロトルコリラを売る運用をしてスワップ部分だけ定期的に出金し、まさかのときには当初の入金額だけを上限にしてそれがなくなったらお仕舞ぐらいの割り切った取引をしませんとDD方式で顧客と販売売買をしたり呑みを主体とする国内の店頭FX業者で取引していたのでは到底儲けにありつくことはできません。
ここは本当に熟考すべきタイミングではないでしょうか。
(この記事を書いた人:今市太郎)