世界のタリフマン・トランプ関税の結果の勝者は一体だれなのかという話がしきりにメディアに登場してきていますが、実はこうした関税政策の結果世界経済がどうなったのかについては1930年の米国のスムート・ホーリー法実施後を見れば明らかという話が急浮上してきています。
スムート・ホーリー法とは
英語では「Smoot-Hawley Tariff Act」と呼ばれるこのスムート・ホーリー法は、1930年、フーバー政権下で成立した関税法で、その前年にあたる1929年に大恐慌に対処して国内産業を保護するために農作物など2万品目の輸入関税を平均50パーセント引き上げることとなっています。
報復措置として多くの国が米国商品に高い関税をかけたため、世界貿易が停滞し、恐慌はさらに悪化することになり結果として誰ひとり勝者のいない最悪の状況に陥ることになります。
自国だけよければそれでいいトランプのやり方ですと結局勝利は得られず、他国もぼろぼろになるというのは見えているわけですが、それでもアメリカファーストを掲げてやるのがトランプ流ということなのでしょう。
ひとしきり関税をかけるで脅して、次は数量規制の話を持ち出し、それでも貿易赤字が埋まらないとなれば結局でてくるのが為替の話になるものと思われ、トランプが仕掛けているこの戦争はまだかなり序盤の始まったばかりの状況であることが理解できます。
これで2020年の選挙も勝ち抜ければ結局プラザ合意の再来を目指すことになるのは間違いなさそうで、7月の選挙対策で8月以降に中身が発表になる日米の通商交渉の結果もおよそろくでもない内容が示現するのはもはや見なくても予想がつく状況です。
中国ものらりくらりとかわしていくのかと思いましたが、どうも徹底抗戦に打ってでそうな雰囲気で、この状態がつつけば世界で得する国などはどこもなくなりそうな気配で、日本に漁夫の利ありなどという意見はほとんど話にならないことが改めて確認できます。
メキシコの関税問題は茶番劇状態
メキシコに対するトランプの関税実施の話は突然飛び出しましたが、その後ナヴァロが必要ないと思われ株は戻し、朝になって米国とメキシコの協議が物別れで瞬間ドル円が売られるなど、毎日メディアのニュースヘッドラインに過剰にアルゴリズムが反応するために上下の振幅ばかりが広がって誰も儲からない相場が続いています。
個人的には実にくだらないとは思うもののタリフマントランプの戦いはまだ始まったばかりですから各国相手にこの調子のトランプ劇場が延々と続くことになるのでしょう。飽きたというよりは慣れるしかないのが現状です。
ドル円は強烈なドル安を求められるはず
日本の金融当局も過度な円安が進まないようにかなり気にしているようにも見えます。
足元のドル円の水準は恐らく米国が志向している水準よりも2割り以上高いものと思われますから、本格的にドル円の水準に米国が口出し始めてくると、今のレベルのドル円の下落では済まない状況が示現する可能性はかなり高そうで、実はライトハイザーから既になにかしら示唆されているのではないかとさえ思う状況です。
とにかく選挙に都合の悪いことは一切事前に開示しないというのもかなりおかしな話ですが、片鱗は必ずトランプや周辺の要人発言からこぼれでてくることになりますから、この夏は相当警戒しながら取引をすることになりそうです。
毎日上げ、下げが変化する相場に慣れてしまいますと大きな方向感というものが失われてしまいがちですが、やはり大局的にはドル円はドル安方向に向かう途上であることを忘れてはならないようです。