4日米国FRBのパウエル議長の発言で年内に利下げの可能性が出てきたことから米株は軒並み上昇しNYダウは前日比で512.40ドル余り上昇することとなりました。
これはシカゴの会合あいさつでFRBが貿易の展開による影響を綿密に監視し、景気拡大を持続されるために適切な行動をとるとし、利下げも辞さない構えを表明したことから市場が好感して大きく株の値が戻る展開となりました。
しかし、この一言だけでここまで株価が戻すというのもなんとも不思議な相場で、アルゴリズムが積極的に買いを入れてきたということもあるのかもしれませんが、明らかに株式市場は利下げを催促していることが明白になりつつあるようです。
ただ、今のところ利下げも辞さずといっただけでいつ利下げすると明言したわけではありませんから、この先まだまだ催促相場が続きそうで、結構ドル円は難しい展開に巻き込まれつつあるように思われます。
米株市場は自社株買い以外には決して買い手が多い状況ではありませんから利下げで安心とはいかないところにも注意が必要です。
利下げ明確化ならドル円は下落のはず
4日のNY市場は確かに株が大幅に戻したことが原因となってドル円は上昇しストップを付ける形で108.356円レベルまで跳ねる動きとなったわけですが、金利の低下は決してドル円の上昇材料にはならなのも間違いない状況で、その後の上値は徐々に重くなる展開を見せることになりました。
これまで米株との相関性が高かったドル円ではありますが、金利が上値を抑えることは十分にありそうで20日午前3時に発表になる6月のFOMC政策金利発表まで当分この調子の相場が続きそうな雰囲気になってきています。
昨年末まで強気だったFRBパウエル議長が年明けから急に宗旨替えしてしまったことでFRBは結局株価だけ見ながら政策をやっていることが露見してしまっていますから、催促相場が出やすい環境はかなり整っており、ここからも市場が気に入らなければ債券金利が下がっても株価が下げるといったわかりにくい状況が示現する可能性はかなり高そうです。
ドル円は買いあがる材料がない
冷静に見ていきますと、ドル円はここから大きく買いあがる要素というものは殆どありませんが、通貨の強弱はあくまで相対的なものでユーロがそれ以上に弱含む場合はユーロドルでもドル高になる可能性は十分あるため一概には言えないのが実情です。
ただ、対円におけるドルの場合には一方的にドルが上昇する材料は乏しく、8月に発表になる日米の通商交渉の結果も決してドル円にプラスになるものとは思えないだけにここから夏にかけては上方向よりも断然下方向に動くリスクが高まりそうな状況です。
但し、7月に予定されている参議院選挙が衆参同時になり、しかも消費増税再々延期となれば一旦日本株が戻ることは予想され、選挙日程がどうなるかよくわかりませんが、これが支えとなる可能性も考えておかなくてはなりません。
10月実施の消費税を6月の後半や7月にやはりやめますというのも実業界にとっては酷く迷惑な話ですが、このあたりの政治状況も相場に影響を与えそうです。ここのところの相場では大きく戻したときに売りで向かいますとそれなりにとれる時間帯が多くなっています。
ただしショートが溜まり過ぎれば当然ショートカバーがでますので突っ込み売りは禁物で様子を見ながらの取引を進めることが肝要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)