足元では米債の利回りがどんどん下落して逆イールド化はさらに深まる状況となってきています。このままでいけばリセッションの前兆となる2年債が10年債を上回る形がでてもまったくおかしくない状況で、さすがにやりすぎ感が感じられる状況になっています。
債券市場は先行きの米国経済が決していいとは思っていないようで、ある種のFRBに対する利下げの催促相場を示現しているとの見方も強まっています。
Data FT
そんななかで新債券の帝王の異名を持つジェフリーガンドラックが全く市場の動きと異なる味方を示して注目されています。
債券金利の底打ちは近い
ガンドラックは5月末からツイートなどでこの先の債券の見通しを断続的に語っていますが、彼の見立てではここから米債金利は近々に底を打って逆に反騰するという見方を示しているのです。
どこまで上昇するかといった具体的な示唆は出していませんが、とにかく金利が底を打つというのが彼の見立てとなっているのです。
ガンドラックといえば2016年、だれしもが米債の長期金利低下を予想している中でひとり金利の反騰を予想し見事に当てていますし、2018年の1月株高の時も年末には下げて終わると予想してこちらも的中させているだけに単なる予言よりはより真実味のある予測をする存在になってきています。
彼のツイートではかなり近いうちの反騰となっていますから、1日や2日の問題ではなく数週間以内に起こる出来事なのかも知れませんが、このまま逆イールドが進行しても何もいいことはありませんから、どちらに転んでもその先をかなり心配する必要がでてきているようです。
一般的には逆イールドの解消の最大の効力を発揮するのはFRBの利下げであり、長期金利は調整できないものの短期金利ならば利下げを実行することで下げることが可能となるのでイールドカーブの逆イールドを解消することが可能になるとされています。
ただ、気をつけなくてはならないのは2000年のITバブルの崩壊も2008年のリーマンショックの前も一旦逆イールドからノーマルのカーブに戻したところで大暴落が起きていることで、ここからFRBが利下げを積極化してイールドのスティープ化が進んでも時すでに遅しとなるリスクがあることも覚えておく必要がありそうです。
リーマンショックから丸11年で何が起きてもおかしくない状況
今年は既にリーマンショックの大暴落から11年目に突入しており、通常の米国の株価の下落サイクルからいえば異例の長期上昇状態を続けているわけですから、もはやいつ相場が変調をきたしてもまったくおかしくないタイミングに入ってきています。
このまま年末まで大きな下げもなく進行していくと考えるのはあまりにも危険な状況になりつつあるわけです。
足元ではそれだけではなく自称ミスタータリフマンのトランプが各国を相手にして関税をかけまくりの恫喝をかけているわけですから、相場がまともに展開するはずがないのも当たり前で、相場が大きく変化する兆候はこれからもしっかり見つけ出す習慣をつけておく必要がありそうです。
ガンドラックの予想がすべて当たるわけではありませんが、全く逆の展開になった時為替はもっとも金利に影響を受けることになりますから、今見えている光景とは違うシナリオが登場することになっても決しておかしくはありません。十分に注意して想定外の動きがでることも意識しておきたいところです。
6月19日にはFOMCの結果発表も控えていますからこのイベントが大きな転機に可能性も視野にいれておく必要がありそうです。6月相場は一筋縄ではいかない動きを見せることもありそうで、5月とは違う意味で難しい相場展開が続きそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)